経済的技術的問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/11 15:29 UTC 版)
伊藤貫によれば、「必要最小限の抑止力でよしとするならば、日本にとって高いハードルではない」とし、伊藤の試算によれば核弾頭(原爆)付き巡航ミサイル200-300基と、専用の駆逐艦及び潜水艦約30隻の建設と運用にかかる軍事予算は年間1兆円となっている。この場合の「必要最小限の抑止力」とはケネス・ウォルツの核戦略理論に基づくもので、具体的には中国東部の主要都市への対価値攻撃力(カウンターバリュー)を意味する。10~50の都市を破壊できれば、核抑止力を持てる。 核実験についてはガンバレル方式だけでなく、インプロージョン方式も現代の技術なら起爆装置と臨界前核実験だけで十分とする意見がある(イスラエルと南アフリカは起爆装置の実験だけで原爆を開発したという説がある)。しかし、文字通り机上の空論でしかなく複数回の現実の核実験が必要という説の方が優勢である。 核実験は技術的な問題以上に、政治的に「核武装の実証を公言」するため必須となる。1970年代初頭に当時の防衛庁の行なった研究では「国内に実験場が無い」ことを核武装断念の理由としている。本土から離れた無人島で地下核実験を行えば良いという意見もあるが、現実問題としてそのほとんどが国定公園である離島を核実験場にすることは固有種や絶滅危惧種、生態系など環境への深刻な影響を与える。 巡航ミサイルは開発の前提となる諸技術は全て備えているので比較的短期で開発は可能であるとされる。ただし、巡航ミサイルの長射程は核弾頭の小型化(トマホークに搭載されたW80で290ポンド)によって達成されたものであり、潜水艦を発射プラットフォームとする限りは、魚雷発射管を始めとする寸法、容積、重量の制限を受ける。 米英仏露中のような高度な戦略原潜と水爆の保有を求めるとなると、開発における障壁はより高いものとなる。
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