経済的分析
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/31 06:51 UTC 版)
新古典派経済学の理論家たちは自由貿易にたいする歪みとして関税をみなす傾向がある。関税は消費者の支出において国内生産ならびに政府の利益になる傾向があり、そして輸入国においては関税の正味の厚生効果には否定的であることを、典型的な分析は見出す。規範的な判断はしばしばこれらの知見に従う。すなわちそれは世界市場から人為的に遮断された産業にたいする国にとっての不利益になるかもしれず、また経済的崩壊が生ずるのを許すにはもしかすると良いかもしれない。すべての関税にたいする抵抗は、関税の減税と、そして関税適用時に異なった国々の間を差別することから国を守ることを、目的とする。右図は国内商品において関税を課することの費用と利益を示す。 次の図で示された、テレビ受像機についての仮想的な国内市場における、輸入関税の課税は次の効果を有する: 世界での価格Pw から課税価格Pt へと価格は上昇する。 高い価格に従う、需要曲線における移動での、国内消費者による需要数量はC1 からC2 へと下落する。 高い価格につれての需要曲線での移動の、Q1 からQ2 へと国内供給者は供給しようとする。従って、輸入数量はC1 - Q1 からC2 - Q2 へと下落する。 国内消費者が高い価格と少ない数量のもとになるにつれ、(需要曲線の下であるが、価格曲線の上の範囲の)消費者余剰はA + B + C + D の分だけ減少する。 国際競争から切り離された国内生産者がより高価格で生産物を売ることができるようになるにつれ、(供給曲線の上であるが、価格曲線の下の範囲の)生産者余剰はA の分だけ増加する。 政府税収はC の範囲で示される、輸入数量( C2 - Q2 )倍の税価格( Pw - Pt ) である。 もはやすべての部分にたいして損失となるところの消費者によってまさに捉えられる余剰の、B とD の範囲は死重損失である。 厚生における全体にわたる変化 = 消費者余剰での変化 + 生産者余剰での変化 + 政府税収での変化 = ( - A - B - C - D ) + A + C = - B - D 。 最初の図でのB とD に対応する、社会的損失(英: societal loss)と名付けられた範囲によって全体の厚生が減少する、関税を課した後の最後の状態は二番目の図で示される。国内消費者に対する損失は、国内生産者ならびに政府に対する利益よりも大きくなる。 なお、以上の分析は部分均衡分析であるが、一般均衡分析により、関税を課した財の生産に関わる厚生は、それ以外のものからの所得の再分配が生ずることが示される。 関税が全体の厚生を減少させることは、経済学者らの間で論争を引き起こす論点ではない。たとえば、シカゴ大学は Imposing new U.S. tariff on steel and aluminum will improve American's welfare(日本語訳:鉄鋼とアルミニウムにおけるアメリカ合衆国の関税を課することはアメリカの厚生を改善する)かどうか尋ねる調査を2018年3月に40人の主導的な経済学者に対して行った。三分の一が合意しなかったのにたいし、三分の二がこの文言に強く合意しなかった、合意または強く合意した者はいなかった。この関税は多数の歳出において少数のアメリカ人の助けになるだろうと多数の者がコメントした。死重損失の結果による、国内生産者ならびに政府よりも重く国内消費者を損失させることである、上記の説明とこれは合致する。
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