経済学への応用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/03 14:35 UTC 版)
経済学において最初にベルマン方程式を適用した例として知られるのが、Martin Beckmann と Richard Muth の研究である。さらに、Martin Beckmann はベルマン方程式を利用した消費理論に関する論文を1959年に発表した。彼の仕事は、特にエドムンド・フェルプスに影響を受けたものである。 ベルマン方程式の経済学への応用として、特に有名なのがロバート・マートンが1973年に発表した 異時点間CAPMである (マートンのポートフォリオ問題もまた参照)。マートンの理論モデルにおいて、投資家が現在の収入と将来の収入もしくはキャピタルゲインを比較して判断をおこなう場合の解はベルマン方程式となる。動的計画法を経済学に応用する場合、結果として得られるベルマン方程式は差分方程式となるため、経済学者は動的計画法を「再帰的方法」と呼ぶ。そのため現在では、再帰的経済学(英語版)は、経済学の一分野として認識されている。 ナンシー・ストーキー、ロバート・ルーカス、エドワード・プレスコットは確率的/非確率的動的計画法について細部まで詳細に記述し、さまざまな条件における解の存在定理を得た。彼らは同時に再帰的手法を用いて経済学理論のさまざまな問題のモデル化について多くの例を示した。 この著作は経済学における様々な問題を解くために動的計画法を利用する道を開いた。例えば、最適な経済成長は、資源開発、プリンシパル=エージェント理論、公共財政、事業投資、資産価格、供給要因、産業組織である。 ラース・リュングヴィスト(英語版)とトーマス・サージェントは金融政策、 財政政策、 課税、 経済成長、サーチ理論、 労働経済学などにおける様々な理論的問題を研究するために動的計画法を用いた。アビナッシュ・ディキシットとロバート・ピンダイク(英語版)は、資本予算について考察することでこの手法の価値を示した。Andersonはこの手法を非公開企業を含んだ事業評価技術に適用した。 具体的な問題を解くために動的計画法を利用するには、観測できない割引率(discount rate)の決定のような、情報上の困難によって複雑なものになる。 さらに取りうる膨大な数のアクションと状態変数によって生ずる次元の呪いに起因する計算技術上の問題が、最適戦略を得る前に立ちはだかる。このような計算上の問題については、Miranda と Fackler、あるいは Meyn 2007 を見よ。
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