経済効果と社会指標
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/26 14:58 UTC 版)
1985年から1996年までの実体経済における平均成長率は、チリ以外のラテンアメリカ諸国を上回る7%であった。しかし1997年には成長にブレーキがかかり、同年から2002年まではGDPも小幅の伸びに留まった。 とは言え経済発展は乳児死亡率や平均寿命の好転に積極的な役割を果たした。乳児死亡率については1970年から1985年にかけて1000人当たり82.2人から19.5人へ下落し、1980年代にラテンアメリカ諸国で最低を記録したし、平均寿命に関しては同時期に64.8歳から68.3歳へと大きく伸びた。1980年代以降一貫して維持してきた経済政策で、着実な経済成長はもとより貧困率も概ね半減したとされる(人口の14%のみが貧困線以下の生活を送っており、ブラジルの31%やボリビアの62%と比べても大変低いことが伺える)一方、実際の貧困率は39%との指摘もある。チリ人経済学者のハコボ・シャタンは貧困の評価方式自体に異議を唱えており、実際の貧困率は公式の数字の2倍以上になるのではないかとしている。 また1983年までには給与水準が1970年比で14%、同時期にはその中間値が3割もそれぞれ下落。貧困層や中流階級から富裕層への所得移転が発生し、それが消費動向への悪影響を指摘する声が上がっている。失業率も民政移管後の1991年に一時下がったものの依然として高止まりの状況が継続。シャタンは「1996年に富裕層の上位5%が最貧層5%の平均より100倍の収入を得て」いるとして、チリ自体を「新自由主義の失敗例」とまで断言する。
※この「経済効果と社会指標」の解説は、「チリの奇跡」の解説の一部です。
「経済効果と社会指標」を含む「チリの奇跡」の記事については、「チリの奇跡」の概要を参照ください。
- 経済効果と社会指標のページへのリンク