紛争の位置づけ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 14:23 UTC 版)
ドンバスにおける紛争の性質理解は、時間経過とともに進化している。 NATOは2014年7月、この紛争をロシア非正規軍との戦争だと考えていると語り、他はロシアの代理者とウクライナ間の戦争だと考えた。赤十字国際委員会は2014年7月、ドンバス地域での出来事を「国際間ではない武力紛争」と表現した。イタルタス通信やロイターなど一部の通信社は、この状況をウクライナが「内戦」状態にあることを意味するものと解釈した。2014年8月のロシア軍による侵攻を受けて、アムネスティ・インターナショナルは2014年9月初頭にそれが「非国際」とは逆で「国際的」な戦争と思われると述べた。同事務総長のサリル・シェティは「衛星画像、ウクライナ国内で捕らえられたロシア軍の報告、国境を越えていくロシア軍や軍事車両の目撃証言を合わせると、これが今や国際的な武力紛争であることは間違いない」と発言した。この紛争は、ロシアによって展開されたウクライナに対する「ハイブリッド戦争」の一部といった分類もされている。 2015年初頭まで、欧州連合(EU)は紛争の参加者を「外国の武装勢力」またはロシアが支援する分離主義者とレッテル貼りする傾向があった。2015年1月末までに統合情勢センターのまとめた報告書が配られた後、EU公式文書は公然と彼らを「ウクライナにいるロシア軍」と位置付けるようになった。 英国王立防衛安全保障研究所によって発表された2015年の論文およびランド研究所による2017年の報告書は、この紛争が初期の局所的な代理紛争からどのようにロシアとウクライナ間のハイブリッド戦争へと進化し、その後2014年8月にロシア軍による直接侵攻という限られた従来の戦争になったのかを文書化したものである。 2014年6月にウクライナ最高議会の議長オレクサンドル・トゥルチノフは、自分はこの紛争をロシアとの直接戦争と考えていると発言した。ウクライナのペトロ・ポロシェンコ大統領によると、この戦争はウクライナ史における「愛国戦争」として知られることになる筈だという。 2014年8月に行われたVTSIOM(ロシアの世論調査機関)の調査によると、回答したロシア市民の59%がドンバス戦争を内戦だと見なしている。回答者の大半がウクライナとの直接戦争は「絶対ありえない」または「極めて可能性が低い」と述べた。28%は将来このような紛争が起こりうると述べた。
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