紛争と構造・変動の概念
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/26 04:16 UTC 版)
ダーレンドルフは上記のような権力概念を基礎として、それぞれの異なる集団(例えば、企業対労働者、国家対企業、国家対国民など)の間の力学的関係を説明しているが、それは単なる権力側からの力による強制を意味するだけではない。彼は非権力側は権力側との対立・紛争を通じて権力への影響力を及ぼすことができるという点を示唆している。実際に基本的人権の保障・社会福祉の導入等の事実を見ても、すべてが服従を強制しようという権力側の意向に基づいて社会制度が形成されているわけではないことがわかる。つまり、これらの事実は非権力側の人々が勢力を集中し、権力側へ対抗することにより、権力側の意向に修正を加えることができたということを示している。したがって、異なる勢力間の紛争・闘争は新たな社会秩序を形成するきっかけであり、さらには社会秩序を強化するという意味からも重要な意義を持っているということなのである。
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