系図の問題点とは? わかりやすく解説

系図の問題点

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/09/26 09:34 UTC 版)

クリティアス (プラトンの曾祖父)」の記事における「系図の問題点」の解説

プラトン『クリティアス』『ティマイオス』の中の対話者であるクリティアスは、カライスクロスの父(プラトン曾祖父)ではなくアテナイ三十人僭主政治指導者として名が知れている、カライスクロスの子プラトンの母の従兄)であるという考え方根強くある。図2(B)に、プラトンの『ソクラテスの弁明』(Pl.Apol.34a)、『カルミデス』(Pl.Charm.153c, 154a, 155a, 157e, 158a)、『プロタゴラス』(Pl.Prot.316a)、『国家』(Pl.Rep.I.327a, 327c)、『パルメニデス』(Pl.Parmen.126b–126c)から作成される系図を示すが、プラトン『ティマイオス』(Pl.Tim.20e)が示す系図(A)クリティアスを、カライスクロスの親(a)、子(b)どちらに対応させるかで意見が変わる。ソロン紀元前600年頃に活躍したことを考えると、世代的に『クリティアス』登場するクリティアスは、カライスクロスの親でないと合わない。 もっともプラトンの『カルミデス』、『プロタゴラス』、及び『エリュクシアス』におけるクリティアス総てカライスクロスの子クリティアスである。同様にプラトン『ティマイオス』『クリティアス』登場するクリティアスも、カライスクロスの子クリティアスであり、そもそもプラトン伝え家系図自体信憑性が低いという意見もある。ちなみにディオゲネス・ラエルティオス(Diogenes Laërtius, 3世紀前半)の『哲学者列伝』の『プラトン伝』(Diog.Laert.iii.1, iii.4., iii.5, iii.41)および『スペウシッポス伝』(Diog.Laert.iv.1) (図2(C))や、プロクロスProklos, 410年頃 – 485年)の『ティマイオスについて』(Procl.Comm.Tim.i.25f, 26a) (図2(D))などでは、『ティマイオス』『クリティアス』登場するクリティアスはカライスクロスの子クリティアスみなされている。 図2(C),(D)に示すように、ディオゲネス・ラエルティオスの『哲学者列伝』の『プラトン伝』(Diog.Laert.iii.1)やプロクロスの『ティマイオスについて』(Procl.Comm.Tim.i.25f)では、ソロン上図のドロピデス(II)は兄弟の関係であるとされるしかしながらプラトンは、ドロピデス(II)のことを、ソロン親族かつ親友としての記述するだけである(Pl.Tim.20e)。シケリアのディオドロス(Diodoros, 紀元前1世紀)の『歴史叢書』、プルタルコス(Plutarchos, 紀元46頃–119以降)の『対比列伝』の『ソロン伝』などは、ソロンの父(エクセケスティデスExekestidesまたはエウポリオンEuphorion)がアテナイの王コドロスの子孫であることを記述するが(Diod.ix.1, Plut.Sol.1)、後に執政官(アルコン)となるドロピデス(II)との血縁についてはふれていないし、『哲学者列伝』の『ソロン伝』では、ソロンのことを「サラミス人」と表現しアテナイ出身の人ではないかのように記述している(Diog.Laert.i.45, これについては、ソロンサラミス土地獲得したことによる肩書きという解釈がある)。これらのことからソロンとドロピデス(II)の兄弟関係については疑問視されている。 『パロス年代表』によると、紀元前644年頃、及び紀元前604年頃に執政官(アルコン)として図1のドロピデス(I), クリティアス(I)という人物がいたことが分かっている(Marm.Par.ep34, ep36)。名付け法則性から、これらの二人が、図1のドロピデス(II)の父、兄であるという推論存在するが、それ以上根拠はない。プラトン遺産相続した図1のアデイマントス(II)の血縁(兄アデイマントス(I)の孫)も、同様の名付け法則性に基づく推論である(Diog.Laert.iii.41)。Prosopographia Attica (Ed. Johannes Kirchner, 1908)では、名付け法則性に基づくプラトン系図採用されている。 ディオゲネス・ラエルティオスの『哲学者列伝』の『プラトン伝』(Diog.Laert.iii.1)およびプロクロスの『ティマイオスについて』におけるテオン(Theon, 2世紀前半)の記述引用(Procl.Comm.Tim.26a)によると、図2のグラウコン(I)はカライスクロスの子であり、三十人僭主政治指導者となったクリティアスの弟にあたるという (図2(C))。また、イアンブリコス(Iamblichos, 紀元250頃–330頃)の記述引用によると、グラウコン(I)はソロンの弟ドロピデスの子であるという(Procl.Comm.Tim.26a)。しかしながらこれらはプラトン記述矛盾するプラトン著作では、プラトンの母ペリクティオネとカルミデス兄妹関係についてはふれられていない(図2(A),(B))。しかしながらクセノポンの『ソクラテスの思い出』では、ソクラテスは図1のグラウコン(I)の息子カルミデスのことを図1のアリストンの子グラウコン(II)の伯父呼称している((Xen.Mem.iii.6.14–15)。図2(C),(D)に示すように、ディオゲネス・ラエルティオスの『哲学者列伝』の『プラトン伝』(Diog.Laert.iii.1)やプロクロスの『ティマイオスについて』(Procl.Comm.Tim.i.25f)では、ペリクティオネとカルミデス兄妹関係を明記している。 図1に示すように、カライスクロスの子クリティアスの母が、弁論家政治家アンドキデスの父レオゴラス(Leogoras, 紀元前5世紀)の母の姉妹であることは、アンドキデス釈明書『秘技について』に記載されている(Andoc.de Mystr.1.47)。アンドキデス親族系図については割愛する

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