対比列伝とは? わかりやすく解説

対比列伝

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/27 15:28 UTC 版)

対比列伝
ギリシア語: Βίοι Παράλληλοι
1565年にフランスで出版された対比列伝に描かれたプルタルコス
訳題 英雄伝
作者 プルタルコス
言語 ギリシア語
ジャンル 伝記
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対比列伝』(たいひれつでん、ラテン語: Vitae Parallelaeギリシア語: Βίοι Παράλληλοι)は、ローマ帝国のギリシャ人の著述家プルタルコスが著した古代ギリシアローマの著名な人物の伝記である。日本語訳名は『英雄伝』、『プルターク英雄伝』(プルタークはプルタルコスの英語名)で多く呼ばれる。

概要

・・・ひとつには私は歴史を書くのでなく伝記を書くのであり、・・・画家が肖像画を描く場合、性格が示される顔や目の表情などをとらえ、他の部分はほとんど考慮しないように、私も大事業や戦闘は他人にまかせて、心の特徴に立ち入り、それによってそれぞれの伝記を記述しようと思う。

プルタルコス、『対比列伝』アレクサンドロス、1(井上一訳)[1]

『対比列伝』は、人となりや言動の似た二人の人物を古代ギリシアとローマから一人ずつ選び、対比させてゆく伝記22編と、セットだが対比でない単独伝記4編からなる。

一例で、アリステイデスマルクス・ポルキウス・カトは、ともに名家の出ではないのに実力で名声を得た点[2]アギスティベリウス・グラックスクレオメネスガイウス・グラックスはともに志半ばで倒れた悲劇の改革者という共通点・類似点をあげている。[3]

著作は文学・文化的価値のみならず史料としても評価が高く、古代ギリシア・ローマ史研究の第一級の史料として扱われている[要出典](ただし、プルタルコス自身は歴史書として書いたのではなく、伝記として書いたと明記している)。だが完全な形で残っているというわけではなく、最初に書かれたと言われるエパメイノンダススキピオ・アフリカヌスの伝記は全て散佚している。[3]

イギリス・ルネサンス演劇(16-17世紀イングランド)を担ったシェイクスピアは、主に本書によりローマ史劇たる『ジュリアス・シーザー』、『アントニーとクレオパトラ』、『コリオレイナス』などを執筆した。

収録人物

この並び順で各ギリシア人とローマ人は対応し、それにしたがって対比が付されている。なお、名前の後ろに※が付いている人物は対比がない。なお、人物名の音韻古代ギリシア語および古代ラテン語に沿って、河野与一翻訳の「プルターク英雄伝」のタイトルに準じたものとしている。

ギリシア人 ローマ人
テーセウス ロームルス
リュクールゴス ヌマ
ソローン プーブリコラ
テミストクレース カミッルス
ペリクレース ファビウス・マクシムス
アルキビアデース マルキウス・コリオラヌース
ティーモレオーン アエミリウス・パウルス
ペロピダース マルケッルス
アリステイデース 大カトー
フィロポイメーン フラーミニーヌス
ピュッロス マリウス
リュサンドロース スッラ
キモーン ルークッルス
ニーキアス クラッスス
エウメネース セルトーリウス
アゲーシラオース ポンペーイウス
アレクサンドロス カエサル
フォーキオーン 小カトー
アーギスクレオメネース ティベリウス・グラックスガイウス・グラックス
デモステネス キケロー
デーメートリオス アントーニウス
ディオーン ブルートゥス
アラートス英語版アルタクセルクセース ガルバオトー

日本語訳

1470年に出版された対比列伝

ギリシャ語で書かれているが、古代から様々な言語に翻訳されている。下記の「戦前期の重訳」も含め多くの出版がある。

戦前期の重訳・抄訳版

脚注

  1. ^ 村川, p. 179.
  2. ^ 『対比列伝』アリステイデスとカトの対比、1
  3. ^ a b プルタルコス『プルタルコス英雄伝 (上)』 の巻末解説。ちくま学芸文庫、1996年
  4. ^ 前半3巻は柳沼訳、後半3巻は城江訳

対比列伝

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/13 09:02 UTC 版)

プルタルコス」の記事における「対比列伝」の解説

英雄伝』全6巻柳沼重剛・城江良和訳京都大学学術出版会西洋古典叢書〉、2007年2021年プルターク英雄伝』全12巻河野与一訳、岩波書店岩波文庫〉、1952年-1956年。初の原典完訳(度々復刊) 『プルタルコス英雄伝』全3巻村川堅太郎編、筑摩書房ちくま学芸文庫〉、1996年 抜粋版で元版は『世界古典文学全集23 プルタルコス筑摩書房1966年プルターク英雄伝』全8巻鶴見祐輔訳、潮出版社〈潮文庫〉、1971年-1972年新版1984年。※英訳版からの重訳抜粋版は、潮文学ライブラリー(全1巻2000年) 『プリューターク英雄伝澤田謙訳、講談社文芸文庫2012年訳者独自の視点での編訳

※この「対比列伝」の解説は、「プルタルコス」の解説の一部です。
「対比列伝」を含む「プルタルコス」の記事については、「プルタルコス」の概要を参照ください。

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