精神面への影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/19 05:28 UTC 版)
「クラック・コカイン」の記事における「精神面への影響」の解説
クラック・コカインは利用者の脳に、多幸感、極端な自信、食欲不振、不眠、覚醒、活力の増大、さらなるコカインの要求などを引き起こし、コカインが切れた後には譫妄をきたす。 コカインを使用すると、まずドパミン作動性神経のシナプス前終末からドパミンを大量に放出させ、脳に多幸感を生じさせる。この多幸感が5分から10分程度続いた後に、脳内のドパミン量が急激に低下することで、憂鬱感を生じたり落ち込んだりする。コカインを溶かして注射した場合、血流への吸収はコカイン・クラックの煙を吸入した場合と同様、すぐに多幸感を生じる。 一般的なコカインの使用者は、コカインを一度の使用で複数回吸入したり(あるいは注射したり)する。しかしながら、コカインはシナプス末端からのドパミン再取り込みを抑制するため、シナプス前終末のドパミンが再補充されるまでは長時間かかる。そのため、コカインを短時間に幾度も打つと、生じる多幸感は回数が増えるほど少なくなっていく。しかしながら、コカインを時折り吸うか打つかすることで、3日ないしはそれ以上の間一睡もせずにどんちゃん騒ぎを続けることが可能である。 コカインを幾度も繰り返し使用し、一度の使用量が増えていくと、神経過敏、不安、譫妄などの状態を生じる。これらの症状は、最終的には本格的な妄想性精神疾患(薬物性の統合失調症)をもたらす。患者は現実との接点を失い、幻聴を聞くようになる。これをコカイン精神病という。 (特にアンフェタミンやコカインなどの)覚醒作用を示す中枢神経刺激薬物の乱用は、寄生虫妄想症(Delusional Parasitosis)やエクボム症候群(Ekbom's Syndrome)などの、体内に小さな虫や寄生虫が存在し、これが這い回ったり刺したりするという妄想を生じさせる。例えば、コカインの乱用者は"cocaine bugs"や"coke bugs"と呼ばれる蟻走感を生じる。これは、自身の皮膚の下で寄生虫が這い回るように感じるか、這い回っていることを確信する妄想である。これらの妄想はまた、昆虫に関する視覚的な幻覚をしばしば引き起こす高熱やアルコール離脱症候群とも関連付けられるこれらの幻覚を体験した人々が特に錯乱していた場合、自身の皮膚を広範囲に渡ってひどく掻きむしり、皮膚に深刻な損傷を与えて出血を起こす。
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