第14留 -イエスの墓-
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/06 06:09 UTC 版)
「ヴィア・ドロローサ」の記事における「第14留 -イエスの墓-」の解説
第14留はイエスの墓とされる場所にある。福音書によれば、イエスの遺体はアリマタヤのヨセフという人物が所有する墓地に埋葬されたという。 「 その後、イエスの弟子でありながら、ユダヤ人たちを恐れて、そのことを隠していたアリマタヤ出身のヨセフが、イエスの遺体を取り降ろしたいと、ピラトに願い出た。ピラトが許したので、ヨセフは行って遺体を取り降ろした。 そこへ、かつてある夜、イエスのもとに来たことのあるニコデモも、没薬と沈香を混ぜた物を百リトラばかり持って来た。 彼らはイエスの遺体を受け取り、ユダヤ人の埋葬の習慣に従い、香料を添えて亜麻布で包んだ。 イエスが十字架につけられた所には園があり、そこには、だれもまだ葬られたことのない新しい墓があった。 その日はユダヤ人の準備の日であり、この墓が近かったので、そこにイエスを納めた。 -『ヨハネによる福音書』 19:38~19:42 」 イエスの墓は現在、ロトンダ(円形建築物)の中央に納められている。石棺自体は切り石を組み合わせて作られた簡素なものなのだが、ビザンチン時代に墓の存在を際立たせるために大理石製のモニュメントが周囲を囲むようになった。ロトンダは1808年に起きた火災により損傷を受けたため、1810年にロシア皇帝アレクサンドル1世の資金提供を受けてギリシア正教会によって修繕されたのだが、その際にロシア皇帝の王冠を模った天蓋が設けられている。 第14留はふたつの部屋に分けられている。ひとつは礼拝施設がある部屋で、もうひとつは石棺が置かれている部屋である。礼拝施設の両脇にはギリシア正教の過越祭にて火を灯すためのふたつの穴が開けられている。また、部屋の中には墓穴の蓋に用いられたとされる円形の石の一部が保管されている。 石棺のある部屋では合計43本のろうそくが昼夜灯されている。43本の内訳はカトリック教会が13本、ギリシア正教会が13本、アルメニア使徒教会が13本、コプト正教会が4本である。石棺には大理石で蓋がされている。この蓋には三つの突起があるのだが、この突起はイエスが死後三日目に復活したという出来事にちなんでいる。 もっとも、キリスト教徒のすべてが実際にイエスがこの場所に葬られたとは思っていない。プロテスタントによる主張では、イエスの時代に墓地があった場所は現在のダマスコ門の北側であるため、イエスの墓もその墓地にあったと考えられている。 また、キリスト教徒の一部は第14留にてイエスの復活が成し遂げられたことから、同じこの場所を第15留と定め、ヴィア・ドロローサの真の終着点と位置づけている。
※この「第14留 -イエスの墓-」の解説は、「ヴィア・ドロローサ」の解説の一部です。
「第14留 -イエスの墓-」を含む「ヴィア・ドロローサ」の記事については、「ヴィア・ドロローサ」の概要を参照ください。
- 第14留 -イエスの墓-のページへのリンク