竜一銭銅貨
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/19 15:38 UTC 版)
「日本の補助貨幣#明治6年制定の銅貨」も参照 品位:銅98%、錫1%、亜鉛1% 量目:7.128g 直径:27.878mm 図柄:竜図(吽竜)、年号、「大日本」、「1SEN」(表面)、「一錢」、菊花紋章、菊枝と桐枝、「以百枚換一圓」(裏面) 周囲:平滑 発行開始:1873年(明治6年) 新貨条例により発行された貨幣の一つ。1871年(明治4年)の新貨条例の施行当時は、金貨・銀貨の製造は開始されたものの、銅貨製造所は完成していなかったため、制定当初のデザインの一銭銅貨は少量試作されただけで流通用として製造・発行されることはなく、1873年(明治6年)にデザインを改正した一銭銅貨が発行された。竜図は元首の象徴とされたことから貨幣の図柄に採用され、金貨・銀貨には阿竜が採用されたのに対し、銅貨には口を結んだ吽竜が採用された。その竜図は、明治10年銘の前期までの「角ウロコ」と、明治10年銘の後期以降の「波ウロコ」に分けられる。また裏面上部に「以百枚換一圓」と円との比率を表す文字が書かれているのが特徴的であり、これは18世紀のアメリカの初期1セントのエッジに刻印されている「ONE HUNDRED FOR DOLLAR」に倣ったものである。また国際化時代に即応するよう、表面に「1SEN」とアラビア数字とローマ字による額面金額が入っている。同じ新貨条例の二銭銅貨・半銭銅貨とは同様のデザインであり、量目も比例関係にある。 明治6年銘から明治21年銘まで、明治11年銘・明治12年銘を除き全て存在するが、明治11年銘・明治12年銘が存在しないのは、1878年(明治11年)・1879年(明治12年)には明治10年銘で製造されたからである。また明治14年銘には「大四」という手替わりが存在し、これは存在数が少なく古銭的価値が高めであり、数千円から数万円の値がつくことがある。十分な量の銅貨が発行され、製造を制限する必要が生じたことから、1888年(明治21年)を最後に半銭銅貨と共に製造が打ち切られた。新貨条例による銅貨は他に二銭銅貨と一厘銅貨があったが、前者は直径が大きすぎ、後者は直径が小さすぎたため、流通に便利だった竜一銭銅貨・半銭銅貨より先の1884年(明治17年)に製造が打ち切られている。なお、明治25年銘がシカゴ博覧会用に2枚のみ製造されている。
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