稲妻からの電磁波を検出するもの(電磁波検出型)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/17 15:37 UTC 版)
「雷検知器」の記事における「稲妻からの電磁波を検出するもの(電磁波検出型)」の解説
放電である稲妻からは電磁波が放出される。これを検出することにより、雷の発生を知ることができる。 古くからあるものであるが、稲妻から放出される電磁波は「ノイズ」であり、無数に存在する電磁波の中から雷の電磁波を特定することが難しく、永らく実験的なものとして使われていた。 1970年代、米国アリゾナ大学(当時)のマーティン・A・ユーマン(en)は、軍の要請、すなわち航空保安用の雷検知器開発のため、稲妻の放出する電磁波を詳細に調べた。その結果、稲妻から放出される電磁波に特徴があることを発見し、「ユーマン理論」(ユーマンの定理と呼ばれることもある。)として発表した。これにより、落雷時に放出される電磁波のみを検出することが可能となり、高精度な雷電磁方向探知システム(LLS = Lightning Location System)が開発され、実用化された。 その後、落雷の発生位置のみならず、その規模なども知ることができるようになり、謎の多かった雷の詳細解明に大きく寄与、気象学分野の研究に限らず、具体的な避雷対策(落雷対策)などに飛躍的な進歩をもたらした。 今日ユーマン理論は、雷探知網(LDN = Lightning Detection Network)からプライベートユース用の携帯型小型雷検知器にまで応用され、それぞれ機能も種類も豊富である。遠方で発生する稲妻の検出が可能であり、稲妻の発生位置などから、雷雲の接近・離間なども計算により予測することができる。ただしどのような場所に置かれても完全に稲妻とそれ以外の電磁波を弁別することができるものではないため、精度を確保するためには、センサ部の設置場所を選ぶ必要がある。これは同じ原理による、レジャーなどで人身防護用として用いる小型の携帯型雷検知器についても当てはまり、加えてこれらは携帯型あるいは可搬型(必要な場所に運び、静置して使う。)とするために簡素化してあることから、「頭上で発生する雷を捉えられない可能性がある」あるいは「稲妻を検知、警報を出したときには既に自身に落雷が発生している可能性がある。」といった限界もあるので、その使用にあたっては十分な注意が必要である。 電磁波検出型の雷検知器は地上のみならず、今日、宇宙からの雷観測にも用いられるようになってきている。2009年2月16日、大阪大学は東大阪宇宙開発協同組合の小型衛星「まいど1号」に搭載した雷観測装置による成功を発表、さらに2011年から数年間、国際宇宙ステーション日本実験棟で、地球規模での雷放電及び高高度放電発光現象の光学及び電波観測を行う計画を発表している。
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