種の記録を拡張し、蓄え、参照する
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/08 15:09 UTC 版)
「Memex」の記事における「種の記録を拡張し、蓄え、参照する」の解説
ブッシュの考えた memex は、単に個人単独の研究成果を強化する機構というだけのものではない。出版物や個人的記録を連結し注釈を添えるという機能は、「世界の記録」を作成し利用するという過程を大きく変化させるとされていた。 ブッシュは「技術的困難さは度外視している」と記しているが、同時に「真空管の出現で技術が大きく進歩したように、将来重要な新技術が登場するかもしれない点も無視している」と記している。実際、AWMTのビジョンをマイクロフィルムで実現することは、月へ人間を送り込むのにジュール・ヴェルヌの夢想した大砲を使うのと似たようなものである。どちらの場合もビジョンそのものが重要なのであって、それを詳述する際のテクノロジーは重要ではない。マイケル・バックランド(英語版)は、「ブッシュのこの分野への貢献は2つある。1つは高速マイクロフィルム・セレクターを実際に試作したという工学上の業績、もう1つは "As We May Think" という思索的論文を書いたことで、熟達した文章と著者の社会的名声によって大きくしかも長く続く反響があり、それが他者を刺激する効果を発揮した」と結論付けている。 "Memex: Getting Back on the Trail"の中でティム・オレンは、AWMTでブッシュが描いたビジョンについて「百科事典と仲間の航跡を自分の成果に取り入れることができる個人用機器」と表現している。 しかし、ブッシュが1959年に書いた "Memex II" のドラフト原稿(にある)では、「学会では論文を紙に印刷しなくなるだろう」と書いており、テープ媒体で論文を取り寄せたり、電話回線でファクシミリのような形でダウンロードするだろうとしている(ペーパーレス化)。また、それぞれの学会はあらゆる論文を格納した 'master memex' を所有し、その中で論文が相互にリンクされていて、古典的なものから最新のものまで同一テーマの論文をたどることができるとしている。
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