秩父蒸留所の稼働開始
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/20 08:51 UTC 版)
「ベンチャーウイスキー」の記事における「秩父蒸留所の稼働開始」の解説
肥土はベンチャウイスキーの設立当初からの夢であった蒸溜所の設立に着手した。建設場所には秩父を選んだ。その理由として肥土は、自らの故郷であり支援してくれる人々がいたこと、更に肥土家などが江戸時代から日本酒を造ってきた地であり、酒造りに適した環境であったことを挙げている。土地を確保するため、埼玉県が所有する秩父の工業団地に入居の希望を伝えたところ、県の担当者が1人で訪ねてきた。県は実績のないベンチャー企業に土地を貸し出した前例がなかったことから、その担当者は入居を断る目的で派遣されたのだった。しかし肥土のウイスキーにかける熱意にほだされ、その日は判断を保留した。間もなくして上司を伴って再来し、肥土から説明を受けると、その上司も肥土の思いに共感して「(ウイスキー事業を)やらせてあげたい」と感じ、再び判断を保留した。その後県庁内で議論が重ねられ、しばらくして県庁から「プレゼンをしに来てほしい」との連絡があった。肥土はそれに応じて県庁に赴きプレゼンを行った。これが県幹部らの心を動かし、ようやく土地を借り受けることの許可を得た。土地の引き渡しの際、県の担当者からは「結構、頑張ったから、社史を書く時には載せてね」と言われたという。 肥土は新商品の開発を進めながら2007年にベンチャーウイスキー初の自前の蒸留所となる秩父蒸留所を完成させた。そして2008年2月に秩父蒸留所でのウイスキーの製造免許を取得して蒸留を開始した。日本でウイスキーの製造免許が交付されたのは35年ぶりのことであった。チーフ・ディスティラーには、2006年にメルシャンの軽井沢蒸留所で研修した際に知り合った、同蒸留所のモルト・マスターであった内堀修省を招聘した。なおこの研修の際に蒸留した軽井沢産の原酒も、2020年3月時点で秩父蒸留所の貯蔵庫に収められている。 2011年、秩父蒸留所で蒸留した原酒を使った最初のモルトウイスキー「秩父 ザ・ファースト」を7400本出荷し、国内分、国外分ともにその日のうちに完売した。
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