直接行動の意義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/09/26 22:15 UTC 版)
直接行動が社会的に支持されるかについては実際の被害の程度とその政治目的の正当性の度合いのバランスである。人が傷つく行為はご法度とされるが、有名な政治家の顔にパイをぶつける行為などは、明確な傷害が伴わないため許容される感もある。また同じように会社の職場や大学の施設の不法占拠は短時間であれば嫌がらせ程度として許容されている感がある。森林伐採場で自分を木に縛り付けたりするなどの営業妨害の行為も器物破壊や傷害による破壊行動が伴わないため、「非暴力」直接行動と認識されている。これのような直接行動には欧米社会は寛容であり、実行者は逮捕されても起訴されずに釈放されることがほとんどである。動物解放戦線という過激派の団体が動物実験を行なう医療施設の従業員の家庭の窓ガラスを割るなどの嫌がらせを行なったときはテロ行為として厳重に処罰されている。もちろん日本などでは過去の学生運動が過激化し多数の死傷者の出る事態に発展した経験があり直接的権利侵害=暴力行為との観念があるため、「非暴力」直接行動という定義自体が矛盾しているととらえられる場合もある。 一方で器物破壊活動に関しては、目的の正当性しだいといえる。捕鯨に抗議するシーシェパードなどがあくまでも妨害活動と「嫌がらせ」に終止するのは、「非暴力」という一線を越えれば欧米の大衆の支持を失うからである。しかし、不法に乱獲を行なっていた漁船をシーシェパードが停泊中に沈没させた事件においては世論は同情的であった。また捕鯨船のスクリューを破壊する行為も人的被害が起こらないので正当とみなす世論がマスコミにも存在する。またこれらの行為に警察などが強硬に対応して抗議する側を傷つけるなどの結果になれば世論の同情が不法行為を行う側に集まるという構造になっているため、直接行動を行う側はできるだけ挑発的行動にでることが多い。シーシェパードが日本側が危険な行為を行なったとの主張を頻繁に行なうのは、自らの団体の直接行動の正当化とともに世論の支持を集めるためである。
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