皇帝のイースター・エッグ
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「インペリアル・イースター・エッグ」の記事における「皇帝のイースター・エッグ」の解説
「皇帝の」イースター・エッグとして1885年、アレクサンドル3世は金細工師ファベルジェに、初めて皇后マリアに贈る黄金のイースター・エッグを作らせた。皇帝が結婚20周年の記念に卵型の贈り物を選んだ背景には皇后から聞いた少女時代の思い出があり、デンマークの伯母ヴィルヘルミーネ・マリーが持っていた黄金の入れ子の卵は白い卵殻から雌鳥(めんどり)が現われ、それを開くとダイヤモンドをちりばめた王冠が入っていて、さらに中からダイヤモンドの指輪が出てくるデザインだったという。 マリア皇后に贈られた純金製の卵は金の素地にエナメルを厚塗りした白い「殻」を開くと、つや消しの黄金で出来た卵黄が現われる。それがひとつめの「お楽しみ」(仕掛け) で、かみ合わせ式の留め金(バヨネット)を外すとスウェードを貼り巣に見立てた中に、色味の異なる金を数種類使い分けためんどりの像がすわっていて、めんどりの留め金を開くと中からダイアモンドを施した小さな帝冠とルビーのペンダントヘッドが現われたというが、2つとも現存しない。この贈り物は「最初のめんどりの卵」と名づけられた。 アレクサンドル3世は最初のイースター・エッグがたいへん喜ばれたことからピーター・カール・ファベルジェを「皇室御用達金細工師」に任命すると、翌年、もう1つ作らせ、それから毎年、黄金の卵は恒例の特注品となった。やがて年月とともにデザインがより精巧になっており、皇帝に細かい指示を与えられたファベルジェが自由にデザインする許可を受けたと考えられる。またファベルジェ家の言い伝えによれば、一つひとつのエッグに必ず「お楽しみ」という小物が入れてあること以外、アレクサンドル3世にさえ、どんな形に仕上がるのか知らせなかったという。 1894年11月1日、アレクサンドル3世が没すると注文主は息子のニコライ2世に代わり、妻アレクサンドラと母マリアに黄金の卵をプレゼントし続けた。製作はまずファベルジェ本人がデザイン原案を承認すると、加工はMichael Perkhin、Henrik Wigström、Erik August Kollinら歴代の職人頭が受け持っている。1904年から1905年の間は日露戦争のため、卵は作られなかった。1917年にロシア革命が勃発、2代のロシア皇帝に納めたエッグの50点目に当たる「カレリアの白樺」(英語)は、皇帝の手元に届くことはなかった。皇帝に納めたうち、現在まで伝わったものはこれをふくめて44点である (2014年に発見された1点を含む)。
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