白の騎士
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/09 16:57 UTC 版)
「鏡の国のアリスのキャラクター」の記事における「白の騎士」の解説
文字通り白の騎士(ナイト)の駒を擬人化したキャラクター。第8章に登場。アリスを捕らえようとしていた赤の騎士に滑稽な決闘で勝利したのち、アリスを次の桝目まで送り届ける。その間、馬上のネズミ捕りや鮫に噛まれないための馬具、円錐形の兜といった自身の様々な発明をアリスに披露し、別れ際には「木戸の横木に腰掛けて」という詩をアリスに捧げる。 この白の騎士は、一般にルイス・キャロル自身をモデルにしたキャラクターであると考えられている。もじゃもじゃの髪や碧眼、やさしい顔付きといった白の騎士の外見はキャロルのそれと一致するし、キャロルもまた物事を逆さに見ることを好み、また発明を好んであまり実用に即さない様々な装置を考案していた。加えて白の騎士は、二つのアリスの物語中、本当にアリスを愛しその手助けに心を砕いた唯一のキャラクターである。 おそらく自身をモデルにしたというこの意識のために、キャロルはテニエルに対して、白の騎士を白髪の老人として描いたことに強く抗議し描き直しを求めたが、テニエルはこの求めには応じなかった。マーティン・ガードナーは、テニエルは白の騎士がキャロル自身であることを見てとり、アリスとの年齢差をはっきり示すために禿頭や口ひげの容貌で描いたものと見ている(本文中にはこうした容貌に関する表現はない)。ただし、キャロル以外にもモデルの候補がないわけではない。他のモデル説の代表的なものにはドン・キホーテ説、キャロルの友人であった化学者オーガスタス・ヴァーノン・ハーコート説などがある。 なおテニエルが描いた白の騎士の顔は、『パンチ』におけるテニエルの同僚ホーラス・ポニー・メイヒューをモデルにしているのではないかという説が提示されたことがあるが、テニエルは生前これを否定している。しかしマイケル・ハンチャーは、テニエルの後輩にあたるジョージ・デュ・モーリエが描いたメイヒューの戯画が、テニエルの白の騎士の絵に影響を与えている可能性を指摘している。またテニエルの(少々頭が禿げ上がった)肖像写真が白の騎士と似ていることから、テニエル自身の自画像だとされることもあるが、ハンチャーはテニエルが『鏡の国のアリス』の挿絵を手がけていた当時はこれほど似ていなかっただろうと述べている。
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