発見時のガイドライン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 09:07 UTC 版)
「地球外知的生命体探査」の記事における「発見時のガイドライン」の解説
電磁波などにより地球外知的生命を発見した場合のために、国際宇宙飛行学会 (IAA) のSETI分科会が「地球外知的生命の発見後の活動に関する諸原則についての宣言」を採択している。以下はその抄訳である。なお以下は1989年に採択された旧バージョンであり、2010年に改訂版が採択された。 地球外知的生命からの信号などを発見した場合には、発見者は一般に公表する前にそれが自然現象および人類が関与した現象で無いか検証を行うべきである。地球外知的生命の存在と確認できない場合には、発見者は未知の現象として適切に公表してよい。 一般に公開される前に、発見者は独立した観測によって発見が確認され、さらに連続したモニタリングが可能なネットワークが確立できるように、この宣言に関連しているすべての観測者・研究機関に速やかに通報せねばならない。関係者はそれが信頼できる証拠であると判明するまで、公開してはならない。また発見者はその者が属する国家の関連する機関に通報すべきである。 証拠が確実であることが判明し、このプロトコルに参加した関係者に通報した後、発見者は国際天文学連合 (IAU) の天文電報中央局 (CBAT) を通じて全世界の観測者に通報すべきである。宇宙条約に従い国連事務総長にも通報すべきである。また関係する国際機関にもデータと情報を供与すべきである。 確証が得られた発見は、科学界および一般のメディアに迅速に隠すことなく公開されなければならない。発見者は最初の発表の権利を持つ。 発見の確認についての総てのデータは、世界中の科学者が利用できるようにされる。 発見は引き続き継続されて観測される。そのデータは将来の解析にも役立てることができるように恒久的に、可能な限り記録され、保存される。 発見の事例が電磁波による物であった場合はその周波数帯を保護するよう国際電気通信連合に求めるべきである。 国際協議が行われて合意ができるまで相手に対しては何の応答も行わない。 国際宇宙飛行学会 (IAA) のSETI委員会はIAU51委員会と協力して発見後のデータの処理方法について引き続き検討する。発見後は科学者と他の分野の専門家からなる国際委員会が設けられる。 ただし、日本においては「関連する国家の機関」が定められていないため、2007年11月3〜4日に兵庫県立西はりま天文台で開催されたSETI研究会の討論会にて話し合いが行なわれた。この研究会でプロトコル検討ワーキング・グループが発足し、現在「関連する国家機関」について議論がなされた。なお2010年に採択された新宣言では、「関連する国家機関への通報」の文章は削除されている。
※この「発見時のガイドライン」の解説は、「地球外知的生命体探査」の解説の一部です。
「発見時のガイドライン」を含む「地球外知的生命体探査」の記事については、「地球外知的生命体探査」の概要を参照ください。
- 発見時のガイドラインのページへのリンク