発見の経緯と概要
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/10/06 08:45 UTC 版)
「エノキタケリノール酸」の記事における「発見の経緯と概要」の解説
2006〜2009 年に実施された、エノキタケ抽出物(キノコキトサン=キノコ由来の植物性キトサン)を用いた複数のヒト介入試験の結果により、エノキタケに含まれる成分は内臓脂肪率を低下させる効果があることが明確になった。しかし、一連の試験に使用されたエノキタケ抽出物の1日摂取量400ミリグラム中の食物繊維の含量が100ミリグラム以下と少量であることから、一般にカニやエビのキトサンで報告されているような脂肪吸収抑制作用のみでは、実験結果で得られた内臓脂肪率の低下作用は説明が不十分であった。その後、2009年から横浜薬科大学(当時は日本薬科大学に在籍)の渡邉泰雄、静岡県立大学の山田静雄らを中心とする共同研究チームにより、内臓脂肪率を低下させる機序の研究が行われた。研究の結果、エノキタケ抽出物中より発見されたある脂肪酸の複合体が内臓脂肪の低下に深く関与していることが判明する。この複合体は4種類の脂肪酸、リノール酸、α-リノレン酸、ペンタデカン酸、パルチミン酸が比率95:2:2:1の割合で構成されており、さらに、この複合体の内臓脂肪減少作用の機序の一つとして、βアドレナリン受容体刺激を介した脂肪分解促進作用が寄与している可能性が認められた。2010年にこの脂肪酸の複合体は、研究チームの渡邉泰雄によりエノキタケリノール酸と命名された。生のエノキタケ100グラム(乾燥エノキタケ約10グラム)にエノキタケリノール酸が800ミリグラム含まれる。 その後さらに、立教大学の常盤広明によるコンピュータシミュレーションによる研究により、エノキタケリノール酸が二つのβアドレナリン受容体の間に入り込んで間接的に刺激して活性化させ、その結果内臓脂肪を燃焼させることも明らかになった。 詳細は「エノキタケ」を参照
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