発見の経緯と学術的考察
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 03:57 UTC 版)
鯨骨生物群集とは、死んだクジラが海底に沈んだ時、その遺骸および腐敗の過程で発生する硫化水素を栄養源とする特定の生物が集まり、食物網(食物連鎖)やエネルギー循環を形成した生物群集を指す。1987年、アメリカの深海探査船アルビン号によってサンタ・カタリーナ海盆(Santa Catalina Basin)の水深1,240m地点で発見された「閉じた生物環境」である。日本近海では1992年に、小笠原諸島沖の海底で発見された。 鯨骨生物群集は化学合成生物群集の一つで、海底火山の熱水噴出孔周辺に形成される生物群と同じように、硫化水素還元反応による嫌気性環境のエネルギー循環バイオマスと理解されている。熱水噴出孔に形成されるチムニーとは異なり、チューブワームは少なく、ヒラノマクラなどの二枚貝やエビ類が多く見られ、コトクラゲ(Lyrocteis imperatoris)のように鯨骨に集まる生物を捕食するものもある。化学合成細菌が共生するゴカイの一種や、通常は清浄な水域に棲むナメクジウオの新種(ゲイコツナメクジウオ Asymmetron inferum)など、さまざまな新種の生物が発見されている。
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