メスバウアー効果
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メスバウアー効果(メスバウアーこうか、英: Mössbauer effect)とは、1958年にルドルフ・メスバウアーによって発見された結晶体状のガンマ線放射線源とその吸収体の間に発生する共鳴吸収現象を言う[1]。
- ^ 共鳴吸収現象が発生すること自体は1953年にP.B.ムーンとA.ストラストによって水銀について明らかにされていた。メスバウアーはガンマ線の放出に伴う原子核(イリジウム191)の反跳効果を、その原子を結晶の結合でつなぎ止めた上でその結晶を冷却することで防ぐことに成功した。なお、イリジウム191では冷却が必要であったが、後に鉄57を用いることで室温でも十分な効果が観測できることが判明した。
- ^ 量子力学的な原子核からの電磁波の放出(光子の放出)によって、ちょうど弾丸を発射した銃のように反対方向に跳ね飛ばされる。これを反跳(recoil)と呼ぶ。反跳によって原子核は電磁波のエネルギーの一部を持ち去るため、同一物質同士であっても放出される電磁波の振動数と物質が吸収する電磁波の振動数は一致しない。講談社(1972) p.189
- ^ 那須(2004)
- ^ しかしそれ以前に、1953年にバーミンガム大学の P.B. ムーン(Philip Burton Moon) と A. ストラスト は、励起した水銀を遠心分離機の腕に固定し回転させることで、反跳現象による周波数の低下を運動速度で相殺させることで(接近する向きに運動する場合はドプラー効果により周波数が増すので)、実際に静止した水銀との間で共鳴現象が発生することを発見していた。
- ^ 例えば、イリジウム191であれば結晶中に束縛した上に、さらに冷却をする必要もあるが、鉄57の場合には結晶の温度が室温であっても共鳴がかなりの強度で起こる。
- 1 メスバウアー効果とは
- 2 メスバウアー効果の概要
- 3 参考文献
異性体シフト
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異性体シフト (δ)(アイソマーシフトとも。特に古い文献では化学シフトとも呼ばれる)は、軌道内の電子の遷移による核の共鳴エネルギーのシフトを表す相対的な尺度である(図2参照)。スペクトル全体はs電子の電荷密度により正または負の方向にシフトする。この変化は、非ゼロ確率のs軌道電子とそれが回る非ゼロ体積核の間の静電応答の変化により生じる。 s軌道の電子の3次元球形は核が占める体積を組み込んでいるため、これのみが非ゼロの確率を示す。しかし、p, dや他の電子は遮蔽効果を通してs電子密度に影響を及ぼしうる。 異性体シフトは以下の式で表すことができる。Kは核定数、Re2 と Rg2の差は励起状態と基底状態の間の実効核電荷半径差、[Ψs2(0)]aと[Ψs2(0)]bの間の差は核上の電子密度の差(aは線源、bは試料)。ここにある化学異性体シフトは温度によって変化しないが、メスバウアースペクトルは二次ドップラー効果として知られる相対論的効果により温度感受性を有する。一般にこれによる影響は小さく、IUPAC規格ではこれを補正せずに異性体シフトを報告することが許可されている。 CS = K ( ⟨ R e 2 ⟩ − ⟨ R g 2 ⟩ ) ( [ Ψ s 2 ( 0 ) ] b − [ Ψ s 2 ( 0 ) ] a ) . {\displaystyle {\text{CS}}=K\left(\langle R_{e}^{2}\rangle -\langle R_{g}^{2}\rangle \right)\left([\Psi _{s}^{2}(0)]_{b}-[\Psi _{s}^{2}(0)]_{a}\right).} この式の物理的意味は例を用いて明確化することができる。 有効核電荷の変化が負であることから(Re < Rgのため)、57Feスペクトルのs電子密度の増加により負のシフトが与えられるが、119Snのs電子密度の増加は(Re> Rgのために)全体的な核電荷の正の変化により正のシフトが与えられる。 酸化第二鉄イオン (Fe3+) は、第二鉄イオンの核のs電子密度がd電子により弱い遮蔽効果により大きいため、第一鉄イオン (Fe2+) より異性体シフトが低い。 異性体シフトは電気陰性基の酸化状態、原子価状態、電子遮蔽および電子吸引力を決定するのに有用である。
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