57Feメスバウアー分光
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/18 22:15 UTC 版)
「メスバウアー分光法」の記事における「57Feメスバウアー分光」の解説
化学異性体シフトや四極子分裂は一般的に標準物質を基準として評価する。例えば、鉄化合物においては鉄箔(厚さ40マイクロメートル以下)を用いてメスバウアーパラメータを評価した。金属鉄箔からの6つの線スペクトルの重心は−0.1 mm/s(Co/Rh源の場合)である。他の鉄化合物のすべてのシフトは、この−0.10 mm/s(室温において)に対して相対的に計算される。すなわち、この場合の異性体シフトはCo/Rh源に対して相対的である。言い換えれば、メスバウアースペクトルの中心点はゼロである。シフトの値は0.0 mm/sに対して相対的に報告されてもよく、この場合のシフトは鉄箔に対して相対的なものである。 6本の鉄のスペクトルから外側の線の距離を計算するには下式を使用する。 V = c B int μ N E γ ( 3 g n e + g n ) {\displaystyle V={\frac {c\,B_{\text{int}}\,\mu _{\rm {N}}}{E_{\gamma }}}(3g_{n}^{e}+g_{n})} ここで c は光速、Bint は金属鉄の内部磁場(7001330000000000000♠33 T)、μNは核磁子(6973505078328598661♠3.1524512605×10−8 eV/T)、Eγは励起エネルギー(14.412497(3) keV)、gnは基底状態の核分裂因子(6998906040000000000♠0.090604/(I), ここでアイソスピン I = 1⁄2)、genは57Feの励起状態の分裂因子 (-0.15532/(I), ここでI = 3⁄2)。 上記の値を代入するとV = 6998106258000000000♠10.6258 mm/sとなる。 他の値は鉄箔の様々な特性を反映するために使用されることがある。すべての場合において、Vの変化は異性体シフトにのみ影響を与え、四重極分裂には影響しない。IBAMEは特定の値を指定していないため、10.60 mm/sから10.67 mm/sの間の任意の値を使用することができる。この理由から、鉄箔ではなく光源の詳細(折り返しスペクトルの重心)に言及し使用する光源に関する異性体シフトの値を提供することが強く勧められる。
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