異化と同化の関連、代謝経路のつながり
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/03 06:05 UTC 版)
「代謝」の記事における「異化と同化の関連、代謝経路のつながり」の解説
異化と同化による物質代謝は関連している。それらの関連については、異化によって得られたエネルギーを同化に使用すると言う点のほかに、何らかの有機物が不足した際に代謝系の連結によって不足した物質をある程度補えるという点がある。 生物を構成する物質を大まかに分類すると糖(核酸など)、アミノ酸(タンパク質)、脂肪酸(生体膜)となる。いずれの物質も生物にとって必要欠くべからざるものであり、一部の例外(寄生を行う生物など)を除いてはこれらの物質に関する代謝系(異化、同化のいずれも)を有している。それぞれの物質に対応する代謝系は以下の通りである。 糖・・・同化:糖新生系(解糖系の逆行)、異化:解糖系。 アミノ酸・・・同化:解糖系とクエン酸回路を中心としたアミノ酸合成系、異化:解糖系とクエン酸回路を中心とした分解経路。詳細はアミノ酸の代謝分解 脂肪酸・・・同化:脂肪酸生合成系、異化:β酸化経路。 これらのうち、解糖系はほとんどの生物が持っている基本的なエネルギー獲得経路であり、クエン酸回路も真核生物ではミトコンドリア、原生生物では膜系で行われる。脂肪酸生合成系の出発物質およびβ酸化の最終産物は解糖系の最終産物であるアセチルCoAである。また、各アミノ酸の分解における中間代謝物質は、以下の通りである。 中間代謝物を解糖系に含むものピルビン酸:アラニン、システイン、グリシン、セリン、スレオニン アセチルCoA:ロイシン、イソロイシン、トリプトファン アセトアセチルCoA:フェニルアラニン、チロシン、リシン、ロイシン、トリプトファン 中間代謝物をクエン酸回路に含むものオキサロ酢酸:アスパラギン酸、アスパラギン フマル酸:チロシン、フェニルアラニン スクシニルCoA:イソロイシン、バリン、メチオニン 2-オキソグルタル酸(正確にはグルタミン酸):アルギニン、ヒスチジン、グルタミン、プロリン なお、上述したアミノ酸生合成経路と若干異なる点については、代謝の調節に関わっている(後述)。 中央代謝系を中心としたそれぞれの物質の異化と同化が行われる点について、例えば糖が不足した際にはアミノ酸および脂肪酸を摂取していれば生合成が可能である。脂肪酸の場合も同様で糖、アミノ酸から生合成できる。唯一アミノ酸は窒素および生体成分における硫黄の供給源となるので、ある程度摂取しなければならないが無機態の窒素および硫黄を利用可能な代謝系が存在することは上述の通りである。
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