中央代謝
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/15 07:57 UTC 版)
古細菌のTCA回路は他の生物とほぼ同じである。好気性の古細菌や一部の嫌気性クレン古細菌は完全なTCA回路を備えており、反応は通常の好気性細菌や真核生物と同様に進行する。残りの嫌気性菌はTCA回路を部分的にしか備えておらず、炭素固定などに利用している。 解糖系は各古細菌種によってED経路(エントナー-ドウドロフ経路)、EM経路(エムデン-マイヤーホフ経路)何れかが存在する。こちらは他の生物といくつか相違が見られる。いくつかのメタン菌やテルモコックス綱からはEM経路に関係する酵素が見つかっているが、ADP依存性グルコキナーゼやADP依存性ホスホフルクトキナーゼ、ホスホエノールピルビン酸シンターゼなど特異な酵素が関与するため、変形EM経路と呼ばれている。一方、好気性の古細菌の多くは、好気性の細菌の一部に見られるエントナー-ドウドロフ経路(ED経路)に似る経路を使用する。高度好塩菌では、一部の経路がリン酸化せずに進行するため、部分リン酸化ED経路と言う。テルモプラズマ目の非リン酸化経路では、反応の末端である2-ホスホグリセリン酸に至るまでリン酸化を伴わず、更にグリセルアルデヒドからグリセリン酸までの反応が、グリセルアルデヒドデヒドロゲナーゼによってバイパスされるため、系全体の収支としてATPは生成しない。 ペントースリン酸経路はあまり見られず、リブロースモノリン酸経路を用いる種が多い。独立栄養性の種では、炭素固定回路は種によって異なる。古細菌特有の経路として、Ignicoccusなどがジカルボン酸/4-ヒドロキシ酪酸回路を用いている。
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