異例ずくめの第1話
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 07:21 UTC 版)
前述したように、柴と松尾以外のキャスティングの決定が遅れたこともあって、クランクインは11月4日にずれ込んでしまった。さらに裏番組には、原作者の許可が得られず制作中止となった『長くつ下のピッピ』のピンチヒッターとして円谷プロダクションの特撮番組『ミラーマン』が放送されることになり、TBSは前番組『ガッツジュン』を予定より1週早く打ち切り、初回放映が12月5日から11月28日に繰り上げられた。 このため、第1話は異例の短期間での制作を余儀なくされた。そんな中、劇中クライマックスのチグリス星人の炎上シーンが先行撮影されたが、着込んだ着ぐるみに火薬を仕込んで撮影した際に火が内部へ燃え移り、着ぐるみの半分以上が燃えて溶けてしまった。この結果、チグリス星人の着ぐるみは使い物にならなくなってしまい、焼け残りが死骸の描写に使われたものの、その後のチグリス星人の描写は顔のアップだけで処理し、春日兄妹がスペクトルグラスでチグリス星人の正体を見破るシーンも暗いものとなってしまった。第1話の画面の暗さは、これをごまかすために仕方なく採られた処置だった。 第1話の試写会では、冒頭の暗さなどに関係者の多くが懸念を抱いたという。 一方、監督の実相寺や春日光三役の篠田三郎は試写会では好評であったと証言しており、宣弘社大阪支社に在籍していた佐多直文も、スポンサーの武田薬品から特にクレームはなかったと述べており、宣弘社営業部に在籍していた渡辺邦彦は、多くの関係者が作品に難色を示す中で、宣弘社営業部長の大本勝義だけが「画期的だ」と絶賛して放送に至ったと述べている。 この第1話はタイトルが出るまで実に6分強ものプロローグが入るという異例の構成になっており、その後も予告編のテロップミスなどが生じてしまっている。しかし、実相寺は異例づくめの第1話の映像に対して強いこだわりを持ち、本放送時にTBSの調整室に出向き、放映画像の輝度を明るく調整しないよう指示していた[要出典]。一方、あまりにも暗すぎた映像となったため、実相寺本人が輝度を明るくするよう調整指示して放映した、という逆の証言もある。 実相寺は第1話・第2話を監督した後は制作に参加していないが、その理由についてはTBSが若手スタッフを育てようという方針であったことと、ウルトラシリーズと異なり連続性のあるストーリーであったことから途中復帰が難しかったことを挙げており、自身から降板を希望したわけではないとしている。擬斗の高倉英二も実相寺の降板は本人の意志ではなく、視聴率が取れなかったことによるプロデューサーらの判断であったと推測している。
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