異体字の認定
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/13 06:19 UTC 版)
一般に字義・字音が同じであり、同じ文脈で交換して使用可能なものを異体字と認定できる。すべての字義において交換可能なものもあるが、一部の字義にのみ通用される異体字もある。 ただし特に中国では字義・字音の歴史的な変化により、認定に難しい問題がある。第1には、古代の字音が同じでないもの。例えば寔(ショク、(shí)と實(実)(ジツ、(shí)は「まこと」という意味、置(チ、(zhì)と寘(シ、(zhì)は「おく」という意味であり同音同義語であるものの、日本漢字音を見て分かるとおり、古代音においては異なっていた。第2に古代において本義を異にするもの。「修」と「脩」、「彫」と「雕」などは同音同義語であるものの、古代において本義が異なる字であった。これらは現代語の観点から言えば異体字と認定できるが、古語の観点から言えば異体字と認めることができないものである。 逆に古代において異体字であったものが後には意味の棲み分けをして異体字関係でなくなったものがある。例えば先秦・漢代の文献で「諭」と「喩」はともに「さとす・たとえる」の意味をもち通用されているが、後には「さとす」は「諭」、「たとえる」には「喩」が使われるようになった。特に意符を異にする異体字間でこのような事例が多い。以前は異体字関係であったものとして、他に脇・脅、弔・吊、著・着、果・菓、棋・碁、咲・笑、茶・荼などがある。 なお異体字関係にある文字がすべて正字・俗字に分けられるわけではない。時代の流行、個人の趣向などにより同様に広く使われてきたものが多い。「椀」や「碗」、「槍」や「鎗」、「鉱」や「砿」など同音同義語であるにもかかわらず、材質という細かなニュアンスの違いなどでも次々に異体字が作られる。これらを一概に整理統一することは非常に困難である。
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