生理的性質
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/29 05:14 UTC 版)
子実体は、林床のうちでも、山火事跡や焚き火跡など高熱を受けた箇所に好んで生える。胞子は常温では発芽しにくいが、水に懸濁させた後に40℃前後でおよそ12時間処理すると一斉に発芽を開始する。処理温度が45℃であれば、発芽開始はさらに促進される(約4時間程度)という。宿主となり得る針葉樹からなる森林の付近で溶融アスファルトによる舗装工事を行うことによっても、林内でのツチクラゲの胞子発芽が誘引され得る事実が指摘されている。一方、常温下では、胞子は時に2年程度にわたって生き続ける。 ツチクラゲはホモタリズム(自家和合性)を示し、単一の胞子が出芽して形成された菌糸が、他の胞子由来の菌糸と接合することなく生活環をまっとうする。菌糸の発育の至適条件は20ないし25℃・pH3ないし6であるとされ、アルカリ性の培地では生育は不良である。セルラーゼおよびペクチナーゼを産生する能力を有し、これらの酵素によって、宿主となる樹木の細胞内に侵入するのではないかと推定されている。 リトアニアにおいて、五ヶ所の焼け跡(互いに20-40 km離れている)から得られたツチクラゲの菌株 103株は、和合性の有無によって14群(ジェネット)に分けられた。うち13群は2-48株ずつを含み、3群は複数(2-4ヵ所)の焼け跡に共通して出現した。また、もっとも大きな群では、林床において7 m程度の面積をおおって生育がみられたという。
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