全うする
「全うする」とは、完全にやりきる、果たす、完遂する、という意味で用いられる表現である。主に「職務を全うする」「天寿を全うする」のような言い回しで用いられる。「物事を最後までやり遂げる」「期待される成果をしっかり達成する」といった意味を明示する表現として用いられる。
「真面目である・まともである」という意味の形容動詞「真っ当(-である)」は、「全う(-する)」と同語源であるが、今日では意味も用法も異なる。
「全うする」の語源・由来
「全うする」は、「全く(まった-く)-する」の音変化(ウ音便)である。「全く(まった-く)」は、古語の「全く(また-く)」に促音(っ)が入った表現である。古語の「全く」は副詞で「すっかり」という意味がある。
古語には「全し(また-し)」という形容詞もあった。「全し」が「全い(また-い → まった-い)」もしくは「まったし → まったい」と音変化し、その連用形が独立して「全う(まっと-う)」となった。古語の「全し」は「完全だ」「安全だ」という意味の言葉である。
「全うする」の類語
「全うする」の類語には、「果たす」「やりきる」「やり遂げる」「完遂する」「貫徹する」、あるいは「遂げる」「成し遂げる」などが挙げられる。「全うする」を含む熟語・言い回し
「人生を全うする」とは
「人生を全うする」とは、おおむね「生きているうちに果たしたいことや果たすべきことをやり遂げて、悔いの残らない生き方をする、そして未練なく死ぬ」という意味を込めて用いられることの多い言い回しである。単に「死去する」という意味の婉曲的表現として用いられることもある。また、「死」は特に意識せず「悔いの残らない生き方をする」という程度の意味で用いられることもある。
「天寿を全うする」とは
「天寿を全うする」とは、「長生きして死ぬ(大往生する)」という意味で用いられる言い回しである。「天寿」は「天から授かった命の長さ」という意味の言葉である。不慮の事故などによって命を落とすようなことなく、いわば寿命が尽きる限界まで生き切る、という意味が込められる。「命を全うする」とは
「命を全うする」は、基本的には「人生を全うする」あるいは「天寿を全うする」と同じ意味で用いられることのある言い回しである。「命を全うする」は、人間以外の生物について「最期まで生き切る」という意味を込めて用いられる言い回しでもある。生物種や自然界に対して一角の役割を果たして死ぬ、という「意義ある死」のようなニュアンスを込めて用いられることがある。
「職務を全うする」とは
「職務を全うする」とは、仕事において与えられた役割や責任をしっかり果たす、という意味で用いられる言い回しである。任された仕事を完全にやり遂げる、期限があれば期限内に終わらせる、期待された成果を上げる、職務上の義務や責任を果たす、怠けることなく真摯に取り組む、といった姿勢や態度を指すことが多い。「人生を全うする」は「死ぬ」の意味で用いられることもあるが、「職務を全うする」は「離職する・仕事を辞める」の意味で用いられることはあまりない。
「自分を全うする」とは
「自分を全うする」とは、「自分の力を出し切る」「他人の言動や思惑に左右されることなく、自分自身の信念に従って生き抜く」といった意味で用いられることのある言い回しである。「人生を全うする」と同様「成すべきことを成して存分に悔いなく生きる」という意味を込めて用いられることもある。まっとう・する〔まつたうする〕【全うする】
「まっとうする」の例文・使い方・用例・文例
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