生物肥料
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/20 08:07 UTC 版)
いわゆる生物肥料(biofertilizer)とは、ある種の生きた微生物を内包する有機質肥料である。この微生物は植物成長促進根圏微生物(plant-growth promoting rhizobacteria:PGPR)と呼ばれ、種子、植物表面、または土壌に与えられた場合、根圏または植物内部に定着する。そして、宿主植物への主要栄養素の供給量や利用可能性を増大させ、それによって宿主植物の成長を促進させる。生物肥料中のRGPRは窒素固定で栄養素を付加し、リンを可溶化し、更に、成長促進物質の合成によって植物の生長を刺激する。 生物肥料は化学肥料や農薬の使用を減らすことが期待されている。生物肥料は、土壌中における自然の栄養素循環を活性化させ、土壌有機物の蓄積を促す。生物肥料の使用は、持続可能性と土壌の健康を向上させながら、植物を健康的に生育させることができる。RGPRは、植物の栄養素の要求を満たすことと土壌肥沃度を高めることにおいて非常に有益であるとされる。したがって、RGPRの生育を阻害する化学物質を生物肥料は含んでいない。 リゾビウム属、アゾトバクター、アゾスピリラム属および藍藻類などの生物肥料は長期間使用されてきた。リゾビウム属細菌はマメ科植物に使用されている。アゾトバクターは小麦、トウモロコシ、マスタード、綿、ジャガイモ、およびそのほかの野菜類に有効な可能性がある。アゾスピリラム属細菌の投入は主にモロコシ、雑穀、トウモロコシ、サトウキビ、および小麦で推奨されている。藍藻類は一般的なシアノバクテリア、Nostoc属、Anabaena属あるいはAulosira属である。空気中の窒素を固定し、植物に供給する。低地と高地ともに水田での作物の生育を助ける。Anabaena属はAzolla属の窒素量を60 kg/ha/期だけ増加させ、土壌有機物を豊かにする。
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