植物成長促進根圏微生物
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/05 14:26 UTC 版)
植物成長促進根圏微生物(plant growth-promoting rhizobacteria:PGPR)とは、種子に接種されるとその植物の根に生息し、その植物の生育を促進する土壌微生物である。この定義はKloepperとSchrothによって初めて行われた。 コロニー形成の過程は暗示されている。種子に接種された後に生存し、種子の滲出物に応答して種子圏(種子周辺の環境)で繁殖し、根表面へと吸着し、そして発達する根系でコロニー形成する可能性がある。圃場内でPGPRが有効とならない理由は、しばしば植物の根に定着する能力がないためである。細菌の形質の多様性と特定の遺伝子はこのプロセスに寄与する。この遺伝子のいくつかは同定されている。これら遺伝子が関与する形質には運動性、種子や根の滲出物への走化性、線毛の生産、特定の細胞表面成分の生産、特定の根滲出物の成分を利用する能力、タンパク質分泌、およびクオラムセンシングを含む。これら形質の発現に手を加えられた変異体の生成は、各形質がコロニー形成の過程で果たす正確な役割についての理解を助ける。 遺伝子の同定作業の進歩は、遺伝子融合技術による無差別なスクリーニング戦略を用いて行われている。この戦略では、コロニー形成の過程で発現する遺伝子を検出するために、レポータートランスポゾンとin vitroでの発現技術(in vitro expression technology:IVET)とを利用している。 緑色蛍光タンパク質や蛍光抗体などといった分子マーカーを使用することで、共焦点レーザー走査型顕微鏡を用いて根における根圏細菌を観察することが可能となる。加えて、rRNA標的プローブを利用することで、根圏における根圏細菌の代謝活性をモニターすることができる。これら二つのアプローチの組み合わせは、根端に位置する細菌が最も活発であったことを示した。
※この「植物成長促進根圏微生物」の解説は、「根圏細菌」の解説の一部です。
「植物成長促進根圏微生物」を含む「根圏細菌」の記事については、「根圏細菌」の概要を参照ください。
- 植物成長促進根圏微生物のページへのリンク