漆塗太鼓形酒筒
主名称: | 漆塗太鼓形酒筒 |
指定番号: | 2505 |
枝番: | 00 |
指定年月日: | 1986.06.06(昭和61.06.06) |
国宝重文区分: | 重要文化財 |
部門・種別: | 工芸品 |
ト書: | 文明五年六月吉日の寄進銘がある |
員数: | 1口 |
時代区分: | 室町 |
年代: | 文明5年(1473) |
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解説文: | 大太鼓形を模した酒器で、一木を刳り貫いて木口に板を張り、頂部に一孔を開けて、三重菊座に切子頭付の栓を一体とした蓋を鉄懸金具で止めている。また鼓面には舞楽の太鼓に見られるような剣巴文を朱漆で描き、切子頭は各面を黒・朱漆で塗り分けている。なお胴底部には左記の刻銘がある。 奉寄進施主四十九院角坊権律師行盛 金〓峯寺下山天野山王院長床之酒筒 文明第五天〈〓/巳〉六月吉日〈細工四良次良/塗士次良五良〉 この刻銘から、本酒筒が文明五年(一四七三)高野山千手院谷にあった四十九院の一坊舎角坊に住む行盛により、高野山の鎮守である天野社(現在の丹生都比売神社)の神宮寺山王院の長床【ながとこ】(参籠所)の什器として寄進されたことが知られ、神事の後の直会【なおらい】に用いられたものと考えられる。 この酒筒はかなり大形であるが、太鼓を模したこの種の比較的小形の酒器(近世以降一般に太鼓樽と称される)は瓶子や銚子とともに古くより酒宴の席で用いられていたようで、承久元年(一二一九)頃成立した国宝・紙本著色北野天神縁起や、正安元年(一二九九)奥書の国宝・紙本著色一遍上人絵伝などを初めとして、中世の絵巻物に散見される。 その重量感あふれる雄大な形姿、菊座や切子頭の細工の巧みさなど、用と美をわきまえた優れた造形感覚を示しているとともに、その刻銘により由緒が明確な酒筒の古例としても価値高い。 |
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