消費社会の出現
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/08/27 09:50 UTC 版)
生産と消費という社会の営みは人類社会の始めから存在するが、マックス・ウェーバーが近代資本主義は節制と勤勉さを美徳とするエートスによって発展したと指摘しているように、近代以前の社会は消費よりも生産に高い価値を置く生産社会だったと言える。やがて、社会の多くの人々が消費の快楽を知る事で消費の価値が生産の価値を上回り、消費社会が出現する。 消費社会と呼ばれる状況が、最初に出現したのが、1920年代の米国である。第1次世界大戦に勝利し、空前の好景気と経済繁栄に沸いた。中産階級の家庭には、ラジオ・掃除機などの家庭電化製品が普及し、1928年アメリカ合衆国大統領選挙では、ハーバート・フーヴァー が、「一家に2台のマイカー」を公約に掲げ、当選した。 初期の消費社会は「隣人と同じ水準でクルマや家電製品を手に入れて満足する」ように、大量生産によって作られた画一的な製品を、画一的な大衆が受動的に受け取る消費パターンを取った。やがて消費文化が高度化するに連れ、消費者は画一的な消費に物足りなくなり、差異、多様性、選択性といった価値を重視し、好みに合致する製品を生産者に対して能動的に要求する消費社会へと転換した。日本の広告代理店博報堂は、生産者よりも消費者が優位に立った消費社会を「分衆の時代」と呼んだ。大量生産時代の消費社会では消費者の必要性(ニーズ)に応じて消費が行われたのに対し、高度化した消費社会では他人との差を付けるという欲求によって消費行動が促される。このような差を生じさせる記号を表現する、最も分かり易い例がブランドと呼ばれる商品群である。
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