法院および法廷
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/13 00:56 UTC 版)
香港では、終審法院、高等法院、区域法院が一つだけ設置されている。裁判は三審制であるが、第一審は高裁に相当する高等法院でも行われている。このほか、裁判法院(刑事裁判所)や各種審裁・仲裁処(簡易裁判所に相当する)もある。日本に比べると、やや複雑である。 終審法院 (Court of Final Apeal) :最高裁判所に相当。長の終審法院首席法官は、香港の司法機構の長でもある。上訴・上告のみを扱い、香港の法律を解釈することができる。ただし、香港の憲法性法律と言われる香港基本法の解釈権は全国人民代表大会常務委員会(中央の議会)にあり、終審法院にない。1997年の返還後に設置された。返還前は、イギリス枢密院司法委員会が香港の最終審を担っていた。 高等法院 (High Court) :高等裁判所に相当。だが、原訟法廷と上訴法廷が設けられている。返還前は「最高法院」 (Supreme Court) であったが、終審法院の設置により格下げされた。原訟法廷:香港で最高レベルの第一審法廷。返還前は「原訟法院」であった。 上訴法廷:他の下級裁判所からの上告・上訴を扱う。返還前は「上訴法院」であった。 区域法院 (District Court) :地方裁判所に相当。民事の第一審および、比較的重大な刑事の第一審を行う。英文名称はDiscrict Courtだが、行政上の区 (Discrict) とは全く対応していない。返還前は「地方法院」であった。家事法廷:日本の家庭裁判所に相当する機能を担う。 裁判法院 (Magisrates' Court) :刑事裁判所。ほとんどの刑事事件の第一審を行う。重大な事件の場合は、区域法院や高等法院原訟法廷に案件を移管する場合もある。現在、7つの裁判法院が設けられている。これも、行政上の区と対応していない。なお、裁判法院の裁判官(Magisrate、治安判事)は、中国語でも「裁判官」と表記される。少年法廷:未成年の事件を扱う刑事法廷。 土地審裁処:土地紛争に関わる審理を行う。賠償額に上限はない。 労資審裁処:労使紛争にかかわる審理を行う。 小額錢債審裁処:簡易裁判所に相当。5万香港ドル以下の民事裁判を扱う。弁護士を代理人に立てることはできない。案件によっては、他の法院や審裁処に移管することもある。 淫褻物品審裁処:猥褻な出版物など(テレビ番組や映画を含む)に関する審理を行う。1987年に設立された。「裁判官」と、終審法院首席法官が民間から任命した審裁委員が審理を行う。 死因裁判法庭:律政司(行政府の司法部門、法務省や司法省に相当)から送付された不審な死亡に関して、死因裁判官と陪審員が審理を行う。自然死、事故死、不運な死(事故死のうち、特定の者に責任がないケース)、他殺に分類される。
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