気象現象の本質
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/13 14:51 UTC 版)
大気に供給される熱は、緯度、地形、季節、時間などによって異なるため温度差が生じる。大気の場合、空気が部分的に温まると膨張して密度が下がり、周囲より浮力が大きくなるため上昇する一方、逆に冷やされると収縮して密度が上がり、周囲より浮力が小さくなるので下降する。これは一例ではあるが、こうしたある空間の物理的な不均一を解消しようとする働きによって、一種の乱れが発生する。気象の根本的な原因はこの乱れであり、気象学においてはこれを擾乱(じょうらん)(気象擾乱)とよび、「大気の定常状態(平衡)からの乱れ」と定義している。 擾乱や定常状態は物理的な気象要素として方程式に記述できる現象であり、天気予報ではこの方程式を活用して擾乱を予測する。気象に関係する方程式は熱力学や流体力学などが中心で、特にこれらの分野の理解が必要となる。また、気象は複雑なシステムであり様々な外的要因、内的な不安定要因が存在する。外的なものでは地形の影響、地球の自転の影響、海洋の影響など様々なものが関係していて、総合的に考える必要がある。内的なものではカオス理論(バタフライ効果)で述べられているような初期値鋭敏性、例えば分子や原子レベルの振る舞いの違いが現象の現れ方の違いになりうるが、天気予報に用いるコンピューターの能力の限界からそれを完全に再現することは困難で、実際には近似によりある程度単純化して再現性の良いものを用いる、ということが行われている。
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