気象現象のスケール
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/13 14:51 UTC 版)
気象現象の規模は大小様々で一括りにして扱うのは困難で、規模によって現象を記述する方程式が異なる(規模の異なる現象は、単なる拡大や縮小ではなく、その現象を支配する物理法則が異なる)ことから、規模によって分類するのがふつうである。一般的には、オーランスキー(Isidoro Orlanski)が考案したものを一部修正したものを用いることが多い。 スケール名水平規模km(m)現象例マクロスケール(大規模)マクロαスケール惑星スケール10000km以上 超長波、プラネタリー波、巨大高気圧 マクロβスケール総観スケール2000 – 10000 km 温帯低気圧、高気圧 メソスケール(中規模)メソαスケール1000 – 2000 km 前線、熱帯低気圧(台風) 200 – 1000 km メソβスケール20 – 200 km スーパーセル、集中豪雨、海陸風 メソγスケール2 – 20 km 積乱雲、ダウンバースト マイクロスケール又はミクロスケール(小規模)マイクロαスケール0.2 – 2 km(200 - 2000m) 積乱雲 マイクロβスケール0.02 - 0.2 km(20 - 200m) 竜巻、塵旋風、ビル風 マイクロγスケール0.002 - 0.02 km(2 - 20m) 風の乱渦(風の息) 上記の区分は水平規模で区分したものであるが、継続時間とも相関性がある。下記は世界気象機関(WMO)による気象現象の継続時間ごとの分類である。 スケール名継続時間現象例気候スケール数か月 超長波、プラネタリー波、巨大高気圧 温帯低気圧、高気圧 総観スケール数日 前線、熱帯低気圧 スーパーセル、集中豪雨、海陸風 メソスケール数時間 積乱雲、ダウンバースト マイクロスケール又はミクロスケール数十分 積乱雲、竜巻 数分 積乱雲、塵旋風、ビル風 数秒-数十秒 風の乱渦(風の息) 天気予報で用いる天気図は総観スケールの状態を表現するものである。総観スケールの天気図は総観スケールの現象しか表現できず、それより大きな現象や小さな現象は正確に表現できない。しかし、中緯度では総観スケールの現象が天気に関して支配的、つまり総観スケールの現象を把握しておけば大方の天気の予想ができる。また主要な先進国の多くは中緯度に位置することから、近代気象学が始まって以来最もよく使用されてきた。
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