民間空港としての諸課題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 08:55 UTC 版)
「百里飛行場」の記事における「民間空港としての諸課題」の解説
開港前に、発着料金が成田、羽田の両空港と比較して3割ほど安く抑えられていることに言及し、国際線・格安航空会社の首都圏のターミナルとしての役割が期待されているとした報道 もあったが、以下のような懐疑的な論評も複数見られた。 同空港は就航路線が一路線も決まっておらず、開港後のビルの採算見通しが不透明な状況で、見切り発車した格好となっていること。 百里飛行場は最寄駅である石岡駅・新鉾田駅からは10km以上の距離がある交通不便の地にあり、商業施設等もほとんど存在しないため、百里基地に勤務する航空自衛官からも「陸の孤島」と呼ばれていた。無料駐車場が確保されているため、自家用車利用者にはメリットがあるものの、東京都心から車でのアクセスにも1時間半程度かかることなど、都心との行き来にも時間がかかり、開港時の国内定期便はスカイマークの神戸線(1日1往復)のみに留まっていた。これらのことから、空港近隣在住者以外の利用者にとってこの空港を利用する利点は少なく赤字は必至であり、「税金の無駄遣いである」との指摘が各方面からなされた。 年間利用者は20万人前後の見通しで、国が4路線就航の前提で見込んだ約81万人には程遠い。空港ターミナルビルの運営収支も初年度は約2000万円の赤字となる見込みだ。 なお、事前の需要見込みが過大であったことは、開港後の乗降客数推移から明らかになっている(利用状況参照)。 また2015年(平成27年)4月8日には、首都圏在住者にとって利便性の高い成田空港に、格安航空会社用の第3ターミナルが新設され、6月7日には首都圏中央連絡自動車道(圏央道)の延伸により、常磐自動車道と東関東自動車道が結ばれたことで、隣接する成田空港との競合が激しくなることが予想される。 なお、国際線利用客の急増により利用者数は年々増加しており、開業から10年目にして当初の需要見込みである、年間80万人に達した。神戸空港便により関西との往来にも利用されている。後述の「#利用状況」も参照。 しかし、自衛隊との共用空港のため、自衛隊との間で離着陸は1時間に1本との取り決めがある関係で、現状ではこれ以上の増便は不可能となっている。 空港振興・環境整備支援機構と日経リサーチによる『国管理空港等における空港満足度に関する調査』2018年版では10項目中、無料駐車場への評価などから「移動のしやすさ」「情報入手のしやすさ」「案内のわかりやすさ」「飲食店」など6項目が首位で、総合満足度は4位だった。しかし、空港の知名度のさらなる向上が課題となっており、2019年から愛称変更に関する有識者会議が行われている(後述)。
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