民事再生による経営再建
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/04/19 05:34 UTC 版)
「海上アクセス」の記事における「民事再生による経営再建」の解説
上記のような施策の結果、単年度黒字化を達成するなどの経営改善効果は見られたが、前航路時代から引き継いだ約152億円の累積損失に加え、運航再開後の損失もあわせた累積損失は2010年度末の段階で約167億円、負債総額も約138億円を残しており、このような累積損失・負債が経営の重荷となっていた。 神戸市は、海上アクセスも含めた同市みなと総局の5つの外郭団体について、外部委員会を組織して事業再生のあり方を検討していたが、2011年9月2日に中間報告をまとめ、その中で海上アクセスについては、公益性の高さなどから事業存続の意義があり、民事再生手続を活用して再建すべきとの提言が示された。また、同委員会はその後2011年12月27日にまとめた最終報告において、「航路は公益性が高い」「補助金を削減しているにもかかわらず経常損益は好転している」「関空への格安航空会社(LCC)就航などで旅客の伸びも期待できる」と評価したうえで、中間報告に続いて事業存続の意義を認め、民事再生法を活用した再建を提案するとともに、再建方法として債務の株式化(デット・エクイティ・スワップ、DES)を提言していた。 この提言を受けて、神戸市と海上アクセスでは民事再生法の適用を受けた再建手続に踏み切る方針を固める。2012年2月16日、海上アクセスは民事再生法の適用を申請した。負債総額は2010年度末現在で138億6,106万円。既存株式を無償取得し100%減資した上で、市は、市本体と財団法人神戸市開発管理事業団(2012年9月30日解散、当該債権は市が承継)による約134億円の貸付金を全額株式に振り替えることで、債務超過を解消する計画である。貸付金を全額株式化した場合の評価額との差額相当分は市の損失となるため、2012年度予算案で港湾事業会計と新都市整備事業会計において総額約133億円の特別損失を計上して市議会に提出した。 2012年10月17日、海上アクセスは再生計画案を裁判所に提出、同年11月16日に再生計画案が確定した。これにより、市は約134億円の債権を現物出資することで1億7,000万円相当の株式を取得し、100%株主となることが確定した。なお資本金は出資額の半分の8,500万円とし、残りは資本準備金に組み込んでいる。 2012年12月17日に開催された債権者集会で再生計画案に神戸市が同意、2013年1月11日に再生計画の認可決定が確定し、同年1月31日に再生計画を完了、2月4日に民事再生手続の終結決定が出された。
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