さいむ‐の‐かぶしきか〔‐かぶシキクワ〕【債務の株式化】
読み方:さいむのかぶしきか
債務の株式化(さいむのかぶしきか)(debt equity swap)
銀行からの融資について、その一部の返済を免除してもらう代わりに、企業が新たに発行した株式を受け渡すこと。経営不振の企業が経営の建て直しに向けて実行する。
企業の経営が苦しいと、銀行から受けた融資の返済もままならない。過剰な債務が経営における自由度を奪い、経営の再建はいっそう難しくなる。銀行側も、焦げ付いた融資の回収は半ば諦めかけている。
このような債務を株式に転換することは、企業側にも銀行側にも互いにメリットがある。企業から見ると、利息をつけて返済をしなければならない借入金が株主資本に切り替わるため、企業の有利子負債を圧縮できる。一方の銀行は、経営再建に成功するという条件つきながらも、将来、融資を回収する以上の利益を受け取ることが可能だ。
株式の新規発行によって、既存の株主にとっては1株の価値が下がるというデメリットも発生するが、債務の株式化は、銀行など債権者に向けた企業の経営再建の手法として使われることが多い。
(2002.07.18更新)
債務の株式化
アルゼンチンやチリ、ブラジル、メキシコなど中南米諸国の累積債務問題の解決に用いられた方法です。例えば、A国が累積債務を抱え、それに対してB銀行が融資を行っているとしましょう。当然、B銀行が行っている融資は不良債権化しているわけですが、ここでC銀行がB銀行から、A国に対して行っている融資を、当初の価格から仮に50%割り引いた価格で購入します。さらにその後、C銀行は、A国に支社を持つD社に対して、この債権を当初の価格から45%程度割り引いた価格で売却します。この結果、C銀行は、B銀行から購入した不良債権を、D社に対して5%の利ザヤを抜いたかたちで販売できるのです。D社はA国政府に対して、この不良債権を当初価格から35%程度割り引いた価格で、A国発行の通貨で現金化します。そして、D社のA国支店の株式を購入し、株式化を図るのです。
デットエクイティスワップ
![]() | この記事は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。(2013年1月) |
デット・エクイティ・スワップ(英: debt equity swap)とは、財務改善の手法の一つで、負債と資本との交換である。貸し手の立場からは、債権を元手にした出資を意味する。日本語で「債務の株式化」と表現されることや、DES(デス[1][2])と略して表されることもある。
具体的には、会社に3000万円を貸し付けていたとすると、DESでは会社がこの3000万円を返済したことにする。しかし、実際には会社には返すお金がないので、返してもらったことになっている3000万円を会社に増資する。この操作により、実際のお金は一切動いていないが、会社としては返済義務のある借金が減り、それと同額だけ、返済の必要のない資本が増えることになる。バランスシート上も、自己資本比率が改善する。この手法は企業規模に関わらず広く用いられており、例えば産業再生機構などの再生案件でも頻繁に見られ、銀行が債権を放棄する代わりにDESを行うなどしている。しかし、安易なDESを抑制するため、2006年5月から施行された新会社法では、債権の「時価」(実際の資産価値)に応じたDESしか認めないこととされている。
貸し手側の利点
銀行が貸した先の会社が債務超過などで返済不能になった場合、銀行の行う救済策として、以前は「債権放棄」が一般的だった。銀行にとっては、債権放棄をするということは、その分だけ銀行の資産が減ることになる。
その点、DESであれば、貸したお金がなくなる代わりに相手の会社の株式が手に入るため、銀行の資産は増減せず、債権放棄と比較して抵抗なく行いやすい。また、その会社がきちんと再建して株式上場をするような事態になれば、大きな差益を得られる可能性もある。ただし、再建できない場合は株価が下落したり、あるいは破綻したりして、債権放棄のケースと同じような結果となることもある。
借り手側の利点
借金の返済を免除してもらえることが借り手側のメリットである。しかし、「現物」出資された債権の額面と債務の評価額(時価)との差額が「債務消滅益」となり、一定の条件を満たす場合以外は課税対象となる。
脚注
- ^ “DES|M&A用語集”. www.nihon-ma.co.jp (2023年8月15日). 2023年9月21日閲覧。
- ^ “DES(Debt Equity Swap )とは | デットエクイティスワップの意味とメリット | 山田コンサルティンググループ”. www.ycg-advisory.jp. 2023年9月21日閲覧。
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