歴史家たちの見解が分かれる点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/30 03:25 UTC 版)
「モリー・マグワイアズ」の記事における「歴史家たちの見解が分かれる点」の解説
アイルランドにおける農民の暴力の歴史が、19世紀末の10年以上にわたって続いたペンシルベニア州の産炭地における犯罪の背景にあったことは疑いがない。しかし、歴史家アリーン・オースティン (Aleine Austin) は、次のように述べている。 事実として明らかなのは、モリーズに対して向けられたテロルの大きさの方が、この無学なアイルランド人たちが引き起こしたものよりもずっと大きなものであったということである。 アイルランド系移民のための合法的な自助組織として、当時既に AOH が存在していたが、大部分の主流派の作家たちは、モリー・マグワイアズが秘密組織としてペンシルベニア州に存在し、AOHをフロント組織として使っていた、という見方を受け入れている。この点においても、歴史家たちの見解は分かれている。例えば、ジョセフ・レイバックの1966年(初版は1959年)の著作『A History of American Labor』は、「モリー・マグワイアズが何者なのかが実証されたことは、これまでまったくなかった」と述べている。 モリーたちが暴力的で破壊的な集団として実在した、という考えに立っている著者たちも、モリー・マグワイアズの歴史全体について疑問を投げかける重要な学術的見解の存在を認めている。ジェームズ・D・ホラン (James D. Horan) とハワード・スウィゲット (Howard Swiggett) は、共著書『The Pinkerton Story』を、ピンカートン探偵社と、モリーズを裁くというその使命に共感的な立場から執筆している。しかし、彼らは次のようにも述べている。 モリー・マグワイアズに関する事柄については、厳密かつ公平な正確さを確保することは、極めて難しい。賢明な人物であれば、そのような組織はまったく存在していなかったと考えることだろう。... しかし、われわれは互いに誓いを交わし結束した秘密組織のメンバーが、組織の設備や人員を利用して、個人的な復讐を実行していたのだと強く信じている。... 「労働と資本が戦争状態にあり、民主党と共和党、プロテスタントとカトリック、移民とアメリカ生まれが同様であった」時代についての、こうした見解の相違は、おそらくは避け難いものなのであろう。いずれにせよ、今日の主流となっている見解は、モリー・マグワイアズが実在し、AOHと関係していたというものである。
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