歌唱における声の分類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/30 17:40 UTC 版)
ヨーロッパのクラシックやオペラでは、歌声は楽器のように扱われる。歌唱音楽の作曲者は歌手の技術や才能への理解を持っていなければならない。声の分類は人間の歌声を評価して声域に選定していくことである。音域、声の重さ、テッシトゥーラ、声色、そして途切れやリフトといったパッサージョなどの特性が含まれるが、これらに制限されているわけではいない。他に身体的特徴、スピーチレベル、科学的調査、そして声区による分類も考えられる。ヨーロッパのクラシックの中で形成されていった声の分類の一方で、科学がより現代の声楽に適応していくのは遅かった。声の分類は役に合った声を見つけるため、オペラでよく使われる。現在クラシックなどで使われるいくつかの他の方法が存在する。ドイツのFachシステムや合唱音楽の体系などがあげられるがいずれも世界的な地位は得られていない。 しかしクラシック音楽の体系の中では歌声は大きく7つに分類される。女声は普通ソプラノ、メゾソプラノ、コントラルトの3つにグループ分けされ、男声はカウンターテナー、テナー、バリトン、バスの4つにグループ分けされる。思春期前の子供の声の場合、8つ目のトレブルに分類される。それぞれの大きな分類の中に、コロラチュラの技量や声の重さによって識別される小さな分類がある。 合唱音楽において歌手の声が音域によってのみ分類されることは特筆しなければならない。合唱音楽ではほぼパートは各性別でそれぞれ高音と低音に分けられる(ソプラノ、アルト、テナー、バスの4つ)。その結果として合唱音楽では音程の誤った分類がよく起こる。たいていの人間の音域は中音であるため、無理に高音または低音を出さなければならない。メゾソプラノの人がソプラノまたはアルトで、バリトンの人がテナーまたはバスで歌わなければならないのである。高音低音どちらでも歌手にとって障害が生じるが、一般的に低すぎる音のほうが出しやすいとされている。 現行の音楽の形態(現代の商業音楽と称される場合もある)において、歌手は彼らの歌う音楽ジャンルによって分類される。たとえばジャズ、ポップス、ブルース、ソウルミュージック、カントリー、フォークソング、ロックなどが挙げられる。しかし現在、クラシックでない音楽についての統一的な分類方法は存在しない。クラシックの声の分類を他のジャンルの音楽に採用しようという試みはあるものの、それらの試みは議論の最中である。声の分類はマイクなどの音声増幅器を使わない伝統的な歌唱技術を前提に形成されてきた。しかし現在の歌手は様々な歌唱技術を用い、特定のひとつの役割に縛られる必要はないためソプラノ、テナー、バリトンといった表現を用いた役割付けは不正確もしくは間違いであるともいえる。
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