概念的枠組みとの結びつき
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/19 05:18 UTC 版)
「操作主義」の記事における「概念的枠組みとの結びつき」の解説
上述の議論は、操作化を概念の測定と結び付けるものである。多くの学者が、職への満足度、偏見、怒りなどの概念を操作化して研究している。尺度や指数というものを設けることは、操作主義の形態でもある。尺度や指数の構築が操作化の形態である。操作化に最適な方法は1つではない。例えば、米国では移動距離の概念がマイルで操作化され、ヨーロッパや日本ではキロメートルが使われている。 操作化は実証研究手順の一部である。実証研究の質問を例にとると「仕事の満足度は仕事の離職率に影響を与えるのか?」については、仕事の満足度と仕事の離職率の両方を測定する必要がある。概念とそれらの関係は重要であり、操作化はより大きな概念的枠組みの中で実施される。大規模な実証研究の質問や目的がある場合、データ収集を始める前に質問に対する回答を整理するための概念的枠組みを操作化させておく必要がある。もし学者が概念的枠組みにもとづいてアンケートを作成したのなら、彼らはその枠組みの操作化を済ませている。最も厳格な実証研究は、透明性があり概念的枠組みと繋がった操作化を含んでいるべきである。 極端に単純な例を挙げれば、「職への満足度は、離職率を下げる」という仮説は、職への満足度と離職率という2つの概念を結びつける(また枠組みを構築する)一つの方法である。満足度というアイディアから、仕事満足度の尺度を構築するアンケート項目を設定するプロセスが操作化である。例えば、1) 全体的に、私は自分の仕事に満足している、2)一般的に、私は自分の仕事が好きである、という2つの簡単な質問を用いて仕事満足度を測定することができる。 。 操作主義では、形式的(定量的) 仮説を試験する場合と作業仮説(定性的)を試験する場合とで、異なる論理を用いる。形式的仮説の概念は、経験的に(または操作主義的に)数値変数として表され、推計統計学を用いて試験される。一方、作業仮説(特に社会科学と行政学)は証拠収集と証拠の評価を通じて試験される。その証拠は一般的にケーススタディの文脈の中で収集される。研究者は「その証拠が作業仮説を「支持」するのに十分なのか?」を尋ねる。正式な操作主義では、仮説を支持するために必要な証拠のみならず仮説を支持「できない」証拠の類も指定する。ロバート・インは、データ収集段階で必要な証拠の類を指定する方法として、ケーススタディの決め事(protocol)を作っておくことを推奨している。彼は証拠の情報源を1)文書、2)アーカイブ記録、3)インタビュー、4)直接観測、5)参与観察、6)物理的人工物や文化的人工物、の6つだと規定している。 行政分野で、2006年にシールズとタジャリは5種類の概念的枠組み(作業仮説、記述的範疇、実用的理想型、オペレーションズ・リサーチ、形式的仮説)を特定した。彼らはこの概念的枠組みそれぞれがどのように操作化されうるかを説明して示した。彼らはまた、文献と結びついた概念的枠組みの表を作成する方法を示し、概念的枠組みを操作化する方法 (概念の測定) の細目を割り当てた操作主義の表を作って見せることで、概念化と操作化をより具体的にする方法も示している。
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