森林と農村
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/06 13:58 UTC 版)
木材・薪炭のほかにも、キノコや山菜、果物といった植物食糧、漆などの工業原料や薬用植物など、森林からとれる林産品は多岐にわたる。植物食糧の採集や、森に生きる動物を狩猟によって獲得するなど、食糧供給源としての役割も小さなものではないが、単一的な食料生産地域として整備されたいわゆる田や畑に比べると食料生産効率は落ち、このため農業地域においては森林を伐採して開墾し新しく田畑を開くことが古くからおこなわれており、特に農業地域において森林の面積は狭まる傾向にある。こうした地域においては平地の森林は希少なものとなり、森林の多くは山岳や丘陵といった農業に不適な地域にのみ広がっていることが多い。 ただし、熱帯地方においては荒廃した土地に樹木を植栽し、その陰で食用植物などを栽培する混栽が行われることがある。こうした混栽農法が最も用いられているものとしてはカカオがある。カカオは陰樹であり、空閑地にそのまま植栽してもうまく育たないため、まず空閑地にバナナとヤムイモまたはキャッサバを植え、急速に成長するバナナによって日陰を作り、ヤムイモやキャッサバによって地面の被覆を行い、そのうえでカカオを植栽することで成長しやすくさせる。10年ほど経過してカカオの木が十分大きくなるとバナナを伐採し、カカオ農園が完成するというこの農法は20世紀前半においてガーナで広く用いられ、同国が世界最大のカカオ生産国となる原動力となった。こうした樹木との混栽農法はアグロフォレストリーと呼ばれ、自然破壊を軽減する農法として注目されている。 また、森林内の下草や落ち葉なども、近代化以前の社会においては肥料として重要なものであり、飼い葉として家畜を養うための飼料ともなった。こうしたことから近代以前において農村と森林は不可分の関係を持っていることが多く、日本の里山などのように農村の人間活動の影響下で生態系が構築された森林も存在する。
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