森林との関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/14 23:02 UTC 版)
森林は土壌侵食や表層崩壊を抑止する 深さ数mの表層崩壊に対しては、樹木が存在することで斜面を安定させる効果がある。特に、急斜面において高い効果がある。土壌中に広がった樹木の根が、土層のずれを受け止めて変形したり、摩擦力により引き抜きに抵抗したりして、斜面を滑らせようとするせん断力に抵抗する、あるいは根が土層の変形を防ぐ配筋として働き、土壌の滑りに抵抗するアーチ構造を保つ などと考えられている。 更に、土壌表面の浸食を防ぐ高い効果も持つ。 ただし、抑止効果には限界があり、異常な豪雨に見舞われると、森林があっても表層崩壊が起こりうる。このようにして森林が失われた場合、できるだけ早期に森林を復元することが、更なる崩壊の抑止となる。 深層崩壊の抑止効果は乏しい 一方深層崩壊に対しては、すべり面が深いため地表の植生の影響を受けにくく、管理が行き届いた森林でも発生する。崩壊抑止の効果は乏しいと考えられている。 伐採は崩壊を促進させる 森林の樹木を伐採した斜面は、土層を支える根が弱くなるため、表層崩壊が起きやすい。ただし、伐採直後よりも数年 - 十数年後のほうが崩壊に弱い。これは、伐採後に根の腐朽が次第に進行していくことによる。ただし、樹種や環境により程度は異なる。 また林業においては、樹木の根系を強く保つために、伐採間隔をより長くして十分生育させることや、根が発達していない伐採時や若齢・壮齢林の時期でも林床を土むき出しにさせない(落葉や下草に覆われた状態に保つ)ことが望ましいとされる。 樹齢が長いほど抑止効果が高い 樹齢の長い森林ほど、表層崩壊は起きにくい。樹齢40-50年を超える森林に比べると、若い森林(幼齢林)は崩壊を起こしやすい。 間伐の影響 人工林において、間伐は病虫害や強風害などを防ぎ、良好な生育を助ける効果がある。日本では、林業の経営環境の悪化などから間伐の遅れる森林が増加する傾向にあり、森林の持つ崩壊防止機能の低下が懸念されている。ただしいくつかの研究では、間伐林では根の量が増えるため崩壊への抵抗力が増すという報告もあれば、逆に低下したという報告もあるなど、効果は明確ではない。
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