松下幸之助の批判
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/26 14:44 UTC 版)
松下幸之助は土光の言葉「知恵を出せ、それが出来ぬ者は汗をかけ、それが出来ぬ者は去れ!」を批判し、「『まずは汗を出せ、汗の中から知恵を出せ、それが出来ぬ者は去れ!』と云うべきやね。本当の知恵と言うものは汗から出るものや」と秘書を務めた部下の江口克彦に語ったという。 しかし、土光の「知恵を出せ」は、企業の中枢部の社員に向けた発言だと考えられる。また、20世紀前半において高度な教育(当時の大学は、現在の博士課程のようなレベルに相当する)を受けたため、土光は「読書しろ」という言葉を省略して伝えたとも考えられる。実際、土光は午後6時から10時までの時間の使い方が大切で、たとえ、30分から1時間でもよいので、仕事の後に少しでも勉強をすることが重要であると伝えていた。よってこの言葉は「役員や幹部ならば、大量に本を読み、知恵を出せ、それが出来なければ汗を出せ、それが出来ぬなら去れ」という意味だと考えられる。 一方で、松下は無学で出世した人物である。無学なら当然、工場で汗をかきまくり、現場で肉体的に労働するプロセスが教育となる。それぞれが受けた教育の違いによって、両者の意見が異なることは当然である 。 また、現代人の立場からすると、一見厳しい口調のように思えるが、実際のところ、土光は厳しい指導をおこなう一方で、社員を一人も解雇したことがない人物である。また、石川島播磨重工業に勤務していた頃は、「40年間無遅刻無欠勤」という記録を達成している。ちなみに当時は、一部の外資系企業を除けば、週6日勤務が常識のような時代だった。また中枢部の社員の給与を減らすことで、経験の浅い社員たちを守り育成した。土光が意識した言葉の一つに「率先垂範」というものがある。リーダーシップを取る立場の人物こそが、率先してよい言動・行動を、周囲に示す必要があるという意味である 。 さらに、土光は他人を批判するどころか、東芝の社長かつ経団連会長としての先輩にあたる石坂泰三を尊敬していた。本人が残した言葉の一つに、「僕はねぇ、あの野郎なんて思ったことはないよ。」があった 。
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