本事件についての審理(裁判員裁判)
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「大阪府和泉市元社長夫婦殺害事件」の記事における「本事件についての審理(裁判員裁判)」の解説
大阪地裁堺支部(畑山靖裁判長)で、2013年5月20日、強盗殺人罪などについての初公判が開かれた。冒頭陳述で、検察側は「Sは、遺体の見つかったガレージを管理しており、犯行直後には夫婦の高級腕時計を質入れした」などの状況証拠を挙げ、「犯人はSで間違いない」と主張した。続いて、弁護側は冒頭陳述で、「真犯人は、Sとは別人の2人の男と思われる」と主張した上で、事件後、大阪府警が採取した血痕などを、鑑定せずに紛失し、取り調べ時に警察官がSを怒鳴りつけるなど、違法な捜査が行われていたとして、公訴棄却を求めた。罪状認否で、被告人Sは「夫婦の殺害など絶対にやっていない」と述べ、起訴事実を否認し、無罪を主張した。 2013年6月5日に開かれた公判で、被害者参加制度を利用して、被害者の息子・娘が、それぞれ意見陳述した。2人は、両親への思いを涙ながらに語り、Sに死刑を適用するよう求めた。それまでの公判で、Sは殺害についての起訴事実を否認し、一部黙秘した。 2013年6月10日午前、論告求刑・最終弁論公判が開かれ、検察側はSに対し、死刑を求刑した。論告で、検察側は「事件前年の2003年、Sは夫婦宅に、新築工事で出入りしていた」「遺体が発見されたガレージの借主だった」「事件直後、奪われた男性の腕時計を質入れした」などの状況証拠を挙げた上で、「Sが犯人であることは明らかで、残虐・冷酷な犯行だ。Sは反省しておらず、矯正は不可能だ」と主張した。同日午後、最終弁論が行われ、弁護側は「Sは殺害に関与していない。検察側は、状況証拠を積み重ねた上で、Sを犯人視しているが、直接的な証拠はなく、憶測にすぎない」として、検察側の死刑求刑に反論し、無罪を主張した。最終意見陳述で、Sは「遺体を損壊し、遺棄したのに関与したのは事実で、本当に申し訳ない」と謝罪したが、その一方で「殺害は絶対にやっていない」と述べ、この日で公判は結審した。 2013年6月26日、判決公判が開かれ、大阪地裁堺支部(畑山靖裁判長)は、検察側の求刑通り、被告人Sに死刑判決を言い渡した。大阪地裁堺支部は、判決理由で「Sが、▽遺体をガレージに運搬・遺棄した▽事件直後、被害品の腕時計を質入れし、得た50万円をすぐに使った」などと認定した上で、「いずれもSと犯人とを強く結びつける証拠だ」と指摘した。その上で、「Sが犯人でないとすれば、S以外の第三者が、強盗殺人の犯行に及んだうえ、被害品の腕時計を処分することを許し、Sに遺体を遺棄させるといった、特段の事情がない限り、合理的な説明がつかない」と述べた。また、S・弁護人が「真犯人は別の男2人だと思う」と主張していたことに対しては、「徹底した裏付け捜査を尽くしたにもかかわらず、そうした男らの存在は確認されていない。Sが架空の人物を作り上げているとしか考えられない」と退けた。そして、「Sが犯人だと確実に認められる」と認定した地裁支部は、「2人の命を奪った非人間的で冷酷な犯行だ。Sには反省・悔悟の気持ちが全くなく、改善・矯正の可能性はない」と述べた。弁護側は判決を不服として、大阪高等裁判所に即日控訴した。
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