トゥー・ヴァージンズとは? わかりやすく解説

トゥー・ヴァージンズ

(未完成作品第1番_トゥー・ヴァージンズ から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/16 15:34 UTC 版)

ジョン・レノン > ジョン・レノンの作品 > トゥー・ヴァージンズ
『「未完成」作品第1番 トゥー・ヴァージンズ』
ジョン・レノンオノ・ヨーコスタジオ・アルバム
リリース
録音
ジャンル 前衛音楽
時間
レーベル アップル・レコード / ライコディスク
プロデュース ジョン・レノンオノ・ヨーコ
専門評論家によるレビュー
チャート最高順位
  • 124位(アメリカ[1]
  • ジョン・レノンオノ・ヨーコ アルバム 年表
    • 「未完成」作品第1番 トゥー・ヴァージンズ(1968年 (1968)
    テンプレートを表示

    「未完成」作品第1番 トゥー・ヴァージンズ』(原題:Unfinished Music No.1: Two Virgins)は、1968年に発表されたジョン・レノンオノ・ヨーコのアルバムである[2]。2人の最初の共同制作に当たる。

    解説

    制作の経緯

    レノンは1960年代中盤から前衛音楽に興味を抱いて、アルバムを制作する構想を持っていた。彼は1966年11月ロンドンのインディカ・ギャラリーで、アメリカ前衛芸術家として活動していたオノと出会い、翌年には彼女の個展に出資したり、彼女をビートルズのレコーディング・セッションに招待したりした[3]。彼が1968年2月から4月にかけてインドマハリシ・マヘシ・ヨギの修行を受けていた時、2人は文通で密に連絡を取り合っていた。

    彼女への思慕を次第に深めていったレノンは、1968年5月19日夜、妻シンシアの旅行中に彼女を自宅に招待し、明け方にかけて2人で前衛音楽を制作した。

    内容

    本作は2人が即興で出した音[注釈 1]からなる12曲が収録されている。'Together'ではバックに1928年の同名ヒット曲が流れている。

    本作で特筆すべきは、2人が共に全裸の姿で写っている白黒のジャケット写真であろう。表ジャケットには正面写真、裏ジャケットには振り向く姿を背後から撮影した写真が使用された。2人は本作を録音した後、ロンドン・メリルボーンモンタギュー・スクウェア34番地にあるリンゴ・スターが借りたフラットで同棲生活を開始した。そして1968年10月にセルフタイマー機能を使って、これらの写真を自分達で撮影した。

    裏ジャケットの写真の下には、ポール・マッカートニーが本作に寄せた以下の言葉が掲載された[4][注釈 2]

    When two great Saints meet, it is a humbling experience. The long battles to prove he was a Saint. — Paul McCartney

    反響

    2人のヌード姿を載せたジャケットはイギリスアメリカは勿論、全世界で大きな物議を醸した。当時ビートルズのメンバーは1968年に設立されたアップル・レコードから、配給元のEMI(イギリス)やキャピトル・レコード(アメリカ)を介して自分達のレコードを発売していた。しかしEMI[注釈 3]もキャピタル・レコードも本作の配給を拒否したため、イギリスではトラック・レコード英語版[注釈 4]、アメリカではテトラグラマトン・レコード英語版[注釈 5]により発売され、ジャケットに2人の顔部分とタイトルをくり抜いた茶色無地のカバーを被せて店頭へ陳列されることとなった[5][注釈 6]

    日本ではビートルズの作品を販売していた東芝音楽工業を初め、どのレコード会社も本作を発売しなかった。本作のジャケット写真を掲載したアングラ・レコード・クラブの雑誌『フォークリポート』[注釈 7]出版元は、猥褻文章図画販売の容疑で大阪府警曽根崎署強制捜査を受けた[注釈 8]

    再発

    1997年ライコディスクから初めてCD化され、日本では発表から29年にして、ビデオアーツ・ミュージックから発売された[注釈 9]。英・米ステレオ盤LPで12曲に分かれていたセクションは、英モノラル盤LP同様「サイド・ワン」と「サイド・トゥー」と名づけられた2つのトラックに統合された。ボーナス・トラックとしてオノの自作曲「リメンバー・ラヴ」が追加収録された[6]

    収録曲

    1. "Two Virgins Side One": – 14:14
      • "Two Virgins No.1" (Lennon/Ono)
      • "Together" (De Silva, Brown, Henderson)
      • "Two Virgins No.2" (Lennon/Ono)
      • "Two Virgins No.3" (Lennon/Ono)
      • "Two Virgins No.4" (Lennon/Ono)
      • "Two Virgins No.5" (Lennon/Ono)
    2. "Two Virgins Side Two": – 15:13
      • "Two Virgins No.6" (Lennon/Ono)
      • "Hushabye Hushabye" Copyright Control
      • "Two Virgins No.7" (Lennon/Ono)
      • "Two Virgins No.8" (Lennon/Ono)
      • "Two Virgins No.9" (Lennon/Ono)
      • "Two Virgins No.10" (Lennon/Ono)

    Rykodisc CDbonus track: "Remember Love"

    脚注

    注釈

    1. ^ オノの「ねえあんたあ、ちょっと遊んでいかない」という日本語あり。
    2. ^ 「二人の聖人が出会う時、それは謙虚な経験である。彼が聖人だったことを証明する長い闘い」
    3. ^ イギリス盤のプレスのみ担当。
    4. ^ ザ・フーのマネージャーのキット・ランバートとクリス・スタンプが設立。ザ・フーのほか、ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスクレイジー・ワールド・オブ・アーサー・ブラウンなどが所属していた。
    5. ^ ビル・コスビーらが設立。ディープ・パープルが在籍した。
    6. ^ 旧約聖書創世記の第2章21節から24節までが引用され、25節「アダムと其妻は二人倶に裸體にして愧ぢじざりき」(舊新約聖書 文語訳: 日本聖書協会 978-4-8202-1275-1)に相当する部分は、太字で"And they were both naked, the man and his wife, and were not ashamed." 「男と彼の妻は二人とも裸であり、恥らってはいなかった」と改変されていた。
    7. ^ 編集長は中川五郎。この写真は1970年冬の号に掲載された。
    8. ^ 同じ号に掲載されたポルノ小説との合わせ技だった。
    9. ^ ライコディスク特有のケース全体を覆うオーバーカバーが付けられ、日本盤では同様のデザインのカードが付属している。

    出典

    1. ^ Unfinished Music, No.1: Two Virgins - John Lennon, Yoko Ono | Awards | AllMusic
    2. ^ Clayson, Jungr & Johnson (2019), p. 171.
    3. ^ Clayson, Jungr & Johnson (2019), p. 71.
    4. ^ the-paulmccartney-project.com”. 2024年1月23日閲覧。
    5. ^ Discogs”. 2024年1月23日閲覧。
    6. ^ Discogs”. 2024年1月23日閲覧。

    引用文献

    • Clayson, Alan; Jungr, Barb; Johnson, Robb (2019). Woman: The Incredible Life of Yoko Ono. Lume Books. ASIN B07R963C2R 

    外部リンク





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