朝鮮の伝承
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「さよひめ」説話は、朝鮮における孝女、沈清(シムチョン)にまつわる伝説との近似性が指摘されている。その残された伝承文学はパンソリや小説『沈清伝』、本解(ポンプリ)(朝鮮語版)(神の縁起談)として朗誦される「沈清クッ」などの形態をとる。この本解は、眼病の巫神とみなされている沈の父娘の由来を語る歌であり、巫堂(ムーダン)が踊りを交えてこれを歌唱するクッの儀式として演じられる。 「さよひめ」説話(「松浦長者」等)と沈清伝の共通点としては、話筋を通じて次のような一致がみられる:まず沈清も父母の祈願の末に生まれた神仏の申し子であり、亡き父の菩提のためではないが、生存する父の眼の平癒祈願の米の納付のため、竜王の人身御供となることを承知し、わが身を人身売買する。結局、神仏の慈悲に拠り生贄とはならずに生還/転生して幸福を得る。 また、石化伝説に関しては、「堤上(ジェサン)」説話、すなわち新羅の訥祇王の忠臣朴堤上(パク・ジェサン)(朝鮮語版)(363–419年頃)の妻にまつわる伝説との比較も指摘される。この朴堤上(堤上は役職名)とは、王の命で新羅から倭国へ派遣されて客死した別名「毛末(モマル)」であると『三国史記』(1145年)にあり、『日本書紀』神功皇后摂政5年3月の項に見える毛麻利叱智(モマリシチ)に比定できる(すなわち日本の狭手彦とは逆に、朝鮮から日本に送られた人物である)。朴堤上は、のちの文献では「金堤上」とつくり、その妻が鵄述(チスル)神母(朝鮮語版)として祀られたという伝承が記される(『三国遺事』、13世紀)。これら文献にはないが、民間伝承では妻が石化したと語られるようになった。
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