有効性と現状
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 09:56 UTC 版)
セイバーメトリクスに基づく統計学的な分析によれば、現在の日本プロ野球およびメジャーリーグでは、送りバントをした場合としない場合の得点期待値(1イニングにどれだけ得点できると見込まれるか)を比較すると、無死一二塁の場合を除きバントをしない場合の方が高くなることが複数のデータの分析から明らかになっており、犠牲バントの有効性が疑問視されている。 ただし、たまにバントを行うことで相手にバントを意識したシフトを敷かせる効果が期待できるし、得点期待値よりも得点確率(得点出来るかどうか)を重視する場面、つまり1点を争うような展開の試合終盤に犠牲バントを選択することにも一定の合理性が認められる。また、言うまでもなく打者が投手といったような攻撃側に打力が期待できない場合でもバントは効果的である。またプロ野球・高校野球等同一の枠組みであっても、得点環境は年代により大きく変動しており、作戦の評価や比較の際にはこうした環境の影響にも注意する必要がある。 近年のメジャーリーグ、特にセイバーメトリクスを重視した戦術を取る「新思考派」と呼ばれるチームでは、犠牲バントの数が大幅に減少している。リーグ全体で見た場合も、1940年代は500打席に対し約5.5回はバントが行われていたが、1980年代までにその比率は約5回に下がり、2004年には3回を少し超える程度にまで頻度が落ちている。 対照的に日本では犠牲バントが広く用いられており、2005年の時点で比較した場合、プロ野球とメジャーリーグではバントの頻度において倍近い差があることがわかっている。また、高校野球ではプロ以上にバントが多用されており、2010年の夏の甲子園では1試合平均で5.02本のバントが行われた。一方で、蔦文也監督が率いた徳島県立池田高等学校(通称「やまびこ打線」)や、2007年に選抜大会を制した常葉菊川はバントをしない戦術で注目を集めた。プロ野球においても1998年に横浜ベイスターズを優勝に導いた権藤博はバントを用いることに消極的であった。
※この「有効性と現状」の解説は、「犠牲バント」の解説の一部です。
「有効性と現状」を含む「犠牲バント」の記事については、「犠牲バント」の概要を参照ください。
- 有効性と現状のページへのリンク