暴風による漂流開始
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/08 08:06 UTC 版)
「オーロラ号の漂流」の記事における「暴風による漂流開始」の解説
エバンス岬の隠れ場所の無い停泊地は、オーロラ号を冬の厳しい気象に完全に曝すことになった。4月半ばまでに船は「難破船」のようになっており、右舷側に大きく傾き、氷がその周りを動くと激しい衝撃や振動が伝わっていた。気象が許すときは、陸上部隊と、さらに後にはオーストラリアやニュージーランドとの通信を可能にする無線用アンテナを張ろうという試みが行われた。補給所におくために橇で運ぶ食料の残りが岸に揚げられたが、陸上部隊の個人備品、燃料、装置の大半は船上にあり、船が冬の間もそこに留まっている理由だった。 5月6日午後9時ごろ、激しい嵐が吹いていた中で、船上にあった隊員が「爆発的な音」を2回聞き、主となる太綱が錨から切れた。風と急速に動く氷の力が組み合わされ、オーロラ号を停泊地から切り離し、大きな氷の流れの中に乗せ、船は湾の中に漂い始めた。ステンハウスは、強風が弱まった間に蒸気機関の力で岸に戻すことができるかもしれないと考え、蒸気を上げるよう命令したが、エンジンは冬の修繕のために一部分解されており、即座に発動できなかった。いずれにしても、98馬力 (73 kW) のエンジンと1軸のスクリュー・プロペラは必要な推力を出せなかった。嵐が轟音を立てており、エバンス岬の小屋にいる科学者部隊は何も音が聞こえていないことを意味していた。船が行ってしまったのに気付いたのは朝になってからだった。 オーロラ号が漂流を始めたときには18人の乗組員が乗船しており、岸には10人が残された。エバンス岬の小屋には4人の科学者がいた。最初の補給所設置隊はマッキントッシュとジョイスを含む6人であり、このときハットポイントでエバンス岬まで氷の海を渡るチャンスをうかがって待機していた。
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