日本国内におけるカセットガス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/21 07:02 UTC 版)
「液化石油ガス」の記事における「日本国内におけるカセットガス」の解説
携帯用のガス熱機器の燃料として、日本では一般的なカセットガスだが、カセットガスの成分は他の液化石油ガスと異なりJIS規格で規定されていない。LPガスの業界団体である日本ガス機器検査協会が認証を発行している。この為、カセットガスは商品名に「プロパンガス」「LPガス」と言った表記をしていない。 成分はブタンが主成分で、ホームセンターやドラッグストアで安価に販売されているカセットボンベはほぼブタン100%である。プロパンに比べて容易に液化する半面、その際の気化熱でボンベ温度が急激に低下し気化不良を起こすことが多い。特に高出力のコンロや暖房用ストーブなどで連続使用したり、寒冷地で使用したりすると、出力が低下したり、ボンベの内容分が残りやすい傾向にある(ドロップダウン)。 このため、カセットガスコンロ等の機器によってはカセットガスの設置部にボンベ温度の低下を抑えるプレートを設置した製品が存在する。また、自身が燃焼機器メーカーであるイワタニと東邦金属工業ではレギュラー仕様のボンベでも10〜20%のイソブタンを混入しているほか、寒冷地用に30〜50%をイソブタンとした「イワタニ カセットガスゴールド」「TOHO スーパーブタンガス」も発売されている。 また、極寒冷地向けにプロパンを配合しているカセットボンベも存在する(新富士バーナー ST-760、TRUSCO TB-760、など)が、これらはカートリッジ構造こそブタンガスボンベと同じだが、JIA認証を取得していない。熱量も同一容積比で約20%高い。これらの用途はガストーチや屋外で使用するアウトドア用のコンパクトストーブで、屋内用の機器での使用は推奨されない。パッケージにも屋外用と明記されている。 なお、通常のLPガスの代わりに一般用のLPガス機器に供給する機器も発売されているが、一般用のLPガス機器で使用した場合、赤炎量が増えるなど通常と燃焼状態が異なる。また、ユーザーが爆発事故を起こしたため、岩谷産業はこの種の供給装置の製造・販売から撤退した。現在は東邦金属工業製「TOHO サンパワー」以外、日本のメーカーでは販売していない。海外製のものが入手可能であるが、これらはJIA認証を受けていない。 アウトドア器具向けには形状の異なるカセットボンベ(概ね通常のカセットボンベより背が低く、容器自体の直径が広く、かつ上記の一般的なカセットガスボンベと異なりネジ式の口金となっている)もあり、OD缶と呼ばれる(対して、一般的なものはCB缶と呼ばれる。焜炉#カセットコンロおよびポータブルストーブ#ガスカートリッジ式ストーブも参照)。一般的なもの同様に使用する場所の気温や地域等の環境に合わせてブタン100%からイソブタンやプロパンを混合したものが存在する。 容器入りのガスという点でカセットガスに類似するものに、ガスライター用の詰め替え用ガスがある。こちらは煙草の香りを損なわないためにガス漏れ検知用の臭い成分を含まないか、カセットガスよりは少な目になっているほか、低い気温でも着火できるようにブタンを主成分にイソブタンを混合している。上記のカセットガスボンベより変換してライターに充填するアダプターは存在するが、その場合は着火時に臭い成分を感じることがある。 使用済みのカセットガスボンベの廃棄については、スプレー#廃棄時の注意を参照。
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